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[社説]北朝鮮の「東京五輪不参加決定」、残念だ

登録:2021-04-07 06:40 修正:2021-04-07 07:41
北朝鮮がオリンピック委員会を開き東京五輪への不参加を決定した/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮が7月23日に開幕する東京五輪への不参加を決定した。東京五輪を「朝鮮半島平和プロセス」再稼動の機会にしようとしていた韓国政府の構想が消える危機に直面した。北朝鮮を説得しようとする努力を最後まで尽くすべきだが、国際情勢の流れを正確に把握し、現実性のある対応策を用意することも必要だ。

 北朝鮮が6日に「朝鮮体育」のウェブサイトを通じて五輪不参加の決定を公開し明らかにした理由は、「新型コロナウイルスによる保健の危機から選手を保護するため」だ。新型コロナの感染拡大を防ぐために、1年以上外部と繋がる通路を封鎖し防疫に集中してきた北朝鮮の事情を考慮すれば、理解できないことではない。しかし、北朝鮮が国際社会との接触を最小化し、南北対話や朝米対話にも当面は応じないという意向を示したと解釈できる点で残念であり遺憾だ。

 韓国政府はこれまで、東京五輪を朝鮮半島平和プロセスの進展と韓日関係改善の契機にするという意向を繰り返し表明してきた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は三一節の記念演説で、東京五輪が「韓日間、南北間、朝日間、朝米間の対話の機会になり得る」とし、開催成功のための協力を約束した。2018年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪を機に朝米接触を成立させ、朝鮮半島平和プロセスの扉を開いた政府としては、東京五輪に対する期待が大きく、日本も五輪を通じて朝日関係を改善しようとする意向を示していた。

 北朝鮮は米中対立が強まるなか、バイデン政権の対北朝鮮政策の見直しの結果が北朝鮮に有利にはならず、南北関係の改善を通じて状況を変えることも難しいと判断したものとみられる。北朝鮮は3月初めの韓米合同演習が実施されると、労働党のキム・ヨジョン副部長を通して「南朝鮮当局とは今後いかなる協力や交流も必要ない」という談話を発表するなど、韓国に対する圧迫の度合いを高めている。

 政府はひとまず北朝鮮の「保健危機」問題の解決に協力できる方法を提示するなど、不参加の決定を見直すよう説得を試みるものとみられる。対話のモメンタム(動力)を作ろうとする政府の努力は必要だが、北朝鮮の態度と文在寅政権の残りの任期などを考慮すれば、「プランB」も用意しなければならない。米中対立で急変する国際情勢のなかで、朝鮮半島情勢がこれ以上悪化しないよう状況を適切に管理し、条件が成熟する時に意味のある対話を成立させる戦略を立てなければならない。今は早急さより冷徹さが必要な時だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/989897.html韓国語原文入力:2021-04-07 02:10
訳M.S

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