新型コロナウイルス感染症の患者数が世界で最も高い米国で最近、新規患者数が減少している理由を巡り、さまざまな分析が示されている。
ワシントンポストの集計で、米国の1日の新規感染者(1週間平均値基準)は先月12日に24万8200人と過去最高値を記録した後、15日には約8万8000人に減少した。これは昨年11月以来最も低い数値だ。
急激な減少傾向について専門家らが示す理由は大きく分けて4つだ。まず、ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)は、ワクチン普及とウイルスの季節的変動性という2つの要素を挙げた。同研究所は12日に発行した報告書で、「ワクチン接種が持続的に増えており、これにはワクチン接種の意向がある成人が71%に達する点も影響した」と指摘した。また「季節的変動性によりこれから8月までは拡散が減るだろう」と見通した。新型コロナウイルスは気温が高いほど活動性が落ちることが知られている。
米国は昨年12月14日にワクチンの初接種を開始し、1日の接種量を持続的に増やしており、先週はバイデン大統領が目標値として提示した「1日150万回」を上回る162万回を記録した。現在まで米国人口の12%である約4000万人が最低1回分の接種を受けている。
しかし、ワクチンの効果よりはマスク着用など防疫措置を取ってきた効果が、今になって現れているという分析もある。トム・フリーデン前疾病対策センター(CDC)局長は14日、CNN放送とのインタビューで「ワクチンは感染者の割合に大きな影響を与えていない」とし、「社会的距離の維持やマスク着用、旅行の自制、室内で他人との接触の自制などを我々が日常的に行っているからだ」と述べた。彼は「これまで3回新型コロナ感染者の急増を経験しているが、4回目の急増が起きるかどうかは我々にかかっている」と述べた。
当局の焦点が新型コロナ検査からワクチンの配給と接種に移り、感染者の発見がおろそかになっているという分析もある。ボストン大学のエレナー・マレー教授(感染症)はツイッターに「資源が検査から接種に移動したことに(感染者の減少に)少なくとも部分的な原因があるという点が心配だ」と述べた。新型コロナ検査データを集める「COVID追跡プロジェクト」は、米国で新型コロナ検査が1月中旬に1日200万件を超えたが、1カ月で160万件に減ったと分析した。同プロジェクトは「PCR検査の需要が減ったのは、病気になったり、感染者と接触した人が減ったためだが、おそらく(当局などが)検査を強く進めなかったためでもある」と指摘した。
原因分析においては意見が分かれるものの、大半の専門家の見解が一致する事実がある。それはまさに、新型コロナの変異株が最大の脅威であり、油断せずにマスク着用など防疫措置を今後長く続けなければならないという点だと、ワシントンポストは報じた。