検察が「酒席の滞在時間」を計算し、キム・ボンヒョン前スターモビリティー会長から酒席で接待を受けた現職検事3人のうち2人を不起訴としたことをめぐり、「見逃し捜査」という非難が巻き起こっている。
ソウル南部地検の検事の接待・授受事件捜査専門チーム(チーム長:キム・ラクヒョン刑事6部長)は8日、「ライム事件」の中心人物であるキム前会長から、昨年7月18日に酒席で接待を受けた現職検事3人のうち、1人のみを請託禁止法違反の疑いで在宅起訴した。請託禁止法は、100万ウォン(約9万6000円)を超える金品などを受け取った公職者を処罰することを規定しているが、検察は酒席にいた時間を計算して、接待金額を検事2人については各96万2000ウォン(約9万2300円)、検事1人は114万5333ウォン(約11万円)の接待を受けたとした。つまり、2人の検事は3万8000ウォン(約3650円)の差で起訴を免れたことになる。検察は2人の検事を懲戒処分することを発表したものの、免罪符を与えるために接待費用を調整したという批判が出ている。
9日のSNSには「肴をもう一つ注文していたら大変なことになっていた」「制限時間2時間のバイキングに行って10分で出てきたら安くしてくれるのか」など、検察の「酒席計算法」を批判したり皮肉ったりする書き込みが相次いだ。「検事の方々のための不起訴セット99万9000ウォン」と記された居酒屋広告のパロディーイメージもシェアされた。
政界からも「検察の身内びいき捜査」という批判が提起された。正義党のチャン・テス報道担当は「被疑者として立件すべき人物が検事でなかったとしたら、はたしてこのあきれた酒席計算法が適用されたのか知りたいものだ」とし「むしろ何杯飲んだかと肴の分量を計算すべきだった」と皮肉った。今回の捜査は、10月にキム前会長が公開した「獄中からの立場表明」を根拠として、チュ・ミエ法務部長官が捜査指揮権を発動し、ユン・ソクヨル検察総長の指揮を排除していた状態で行われた。こうした理由から野党「国民の力」は「(酒席での接待以外の)暴露のほとんどは事実ではないので、チュ長官は立場を明らかにすべきだ」と批判した。
一方、与党は「酒席接待が確認されたので、ユン総長は謝罪すべきだ」と、ユン総長を狙い撃ちした。共に民主党は、ユン総長が10月22日の最高検察庁に対する国政監査で、「結果がすべて出たら必要な措置を取り、国民に謝罪すべきことがあれば謝罪するとともに、根本的な改善策を講じる」と述べたことを指摘した。
これについてユン総長は、捜査の進行状況について直接報告を受けていないため、ひとまず裁判所の判断が出るまで見守るという立場だ。最高検察庁関係者は「直ちに立場を表明する計画はない」と明らかにした。チュ長官はこの日、フェイスブックで「公捜処(高位公職者犯罪捜査処)がその解答にならざるを得ないということを、いま検察自らが国民に示していると思う」と述べ、検察の捜査を批判した。