政府は9日、新型コロナウイルス感染症の震源地である中国湖北省武漢に残っている韓国人とその中国国籍の配偶者、子供などを韓国へ連れてくるため、3回目のチャーター機を投入することにした。第1、2次のチャーター機運行時には、中国政府が中国国籍者の出国を制限していたが、最近になって方針を変更したという。幸いだ。現在武漢に残っている韓国人とその家族は計230人程であるが、このうち約100人が申請する予定だという。今回は前回のように混乱が発生しないよう、中国政府とも緊密に調整してほしい。また、収容場所をめぐって対立が起きないよう、事前に地方自治体や住民と十分にコミュニケーションを取り、説得する必要がある。
政府はまた、患者が数人発生した東南アジア諸国への旅行を最小化するよう勧告した。拡散傾向を考慮すれば当然の措置だ。
チョン・セギュン首相は、一時、中国内の危険地域の入国制限拡大を検討する方針を明らかにしていたが、この日の拡大中央事故収拾本部会議で議論した結果、制限拡大は行わないこととした。首相が公に発表したため一部では既成事実として受け止められ、ややもすると混乱を招きかねない状況だった。十分な事前調整が行われていないようで残念だ。
患者の動線の公開をめぐる中央政府と地方政府間の混線も、交通整理を急ぐべきだ。イ・ジェミョン京畿道知事は、19人目の患者の移動経路について「盆唐(プンダン)の両親の家に行ったとだけ発表するから、盆唐全域が麻痺している」と懸念を示した。イ知事が8日に京畿道庁を訪れたチョン首相に提案した段階的公開案は検討に値する。例えば、患者が居住するマンション団地は公開するが、何棟の何号室に住んでいるかは住民だけに個別に案内する方式だ。2015年のMERS事態の時に、城南市(ソンナムシ)が行ったやり方だという。チョン首相が動線情報公開について、9日に疾病管理本部と地方自治体間の協議を注文したのも、これを反映したものとみられる。
7日から検査対象が拡大されたことで、感染の疑われる例が1千人台に近づき、休園や休校に入った幼稚園や小中高校は647校に上る。果ては、一部の大学が、中国・東南アジアを旅行した寮入寮予定の学生を寮に隔離すると発表し、学生たちが反発する事態まで起きた。コミュニケーションが必要に思われる。