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[特派員コラム]トランプの言うことは話半分に聞こう

登録:2019-12-12 21:48 修正:2019-12-13 07:43
ドナルド ・トランプ米大統領=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領の発言を記事にすれば、後で困惑を越えて恥ずかしくなる時が多い。大統領の品格をかなぐり捨てた露骨な表現や、正反対に行ったり来たりする予測不能性のためばかりではない。最も堪え難いのは、普通の国家首脳に対して記者たちがするように、トランプの発言に何か大きな含意があるようだと報道すれば、その後は虚しくなる時が多いという点だ。朝米関係関連である時に特に激しい。自身の顔につばを吐くことを甘んじて受けいれ、最近3カ月を振り返って見る。

 トランプは9月18日、ジョン・ボルトン前ホワイトハウス国家安保補佐官が「リビア・モデル」に言及して朝米関係を難しくさせたと発言して「ことによると新しい方法(new method)が非常に良いだろう」と話した。この発言は、北朝鮮が要求する「新しい計算法」にトランプが応じる返事をしたのではないかというマスコミの解釈を生み、北朝鮮側の朝米交渉代表のキム・ミョンギル巡回大使は「トランプ大統領が新しい方法を主張したという報道を興味深く読んでみた」と引き上げた。だが数日後、韓米首脳会談とトランプの国連基調演説で「新しい方法」に対する話はなく、10月初めのストックホルム朝米実務交渉は合意なく終わった。振り返ってみれば「トランプの言う『新しい方法』は、他でもない自分自身」と言っていたある消息筋の寸評の方が正確だったわけだ。

 トランプは10月21日には「北朝鮮に関し非常に興味深い情報がある。ある時点では重大な事件になるだろう」と話したが、10日後に北朝鮮は超大型ロケット砲の試験発射をした。11月17日、彼はツイッターに金正恩北朝鮮国務委員長に向かって「あなたは早く行動して、合意を成し遂げるべきだ。近いうちに会おう!」と書いて、対話ムードを盛り上げるような印象を匂わせた。概してトランプの発言は、前任者のバラク・オバマと比較して自らの成果を強調し自身だけが解決者だと誇示する内容であり、北朝鮮もそのような脈絡で言及される時が多い。

 トランプの発言は、北朝鮮が期限として提示した12月に入ってからは、見た目には刺激的に変わった。彼は2年間使わなかった「ロケットマン」を口にして「必要ならば軍事力を使うだろう」と言い、金正恩(キム・ジョンウン)が敵対的に行動すれば「事実上、すべて」を失うだろうとも話した。北朝鮮は最高指導者の不快感を伝えながら「私たちはこれ以上失うものはない」と突き放した。だが、「ロケットマン」という発言は、記者たちが「あなたが金正恩に何度も会っても北朝鮮は核プログラムを進めているではないか」という趣旨で尋ねると、「彼はもちろんロケット発射が好きだ」とし防御するように答えたところから出た。「オバマの時期には米国の軍隊が弱かった→今は世界最強だ→使いたくはないが必要なら使うだろう」という三段論法もまた、特定国家と関係なくトランプが慣用句のように口にする言葉だ。トランプが以前より神経が鋭くなったことは事実だが、全体的に彼は「金正恩はすべてを失いつつあり、自分との関係を破る人ではない」として、対話しようという側に立っている。

 トランプは、自身の一言がマスコミにどのように映り、相手方はどのように受け取り、どんな波紋を起こすのかについて細かく気を遣う人ではない。彼が吐きだす発言ごとに奥深い意図や意味を見つけようとする必要はない。朝米交渉においても同様で、お互いの話に鼻をかけ公衆に向けてする口げんかは、消耗して不信を育てるだけだ。まだ2017年当時のような直接的な言葉の爆弾を自制しているトランプ-金正恩の二人は、今もなお解決の糸口を持っている。親書交換でも特使交換でも、電話ででも二人が直接疎通しなければならない。“クリスマスプレゼント”を長距離発射体から対話再開に変える機会はまだある。

//ハンギョレ新聞社
ファン・ジュンボム ワシントン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/920649.html韓国語原文入力:2019-12-12 19:03
訳J.S

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