文在寅(ムン・ジェイン)大統領が8日「ユン・ソクヨル総長ではなく、誰が(検察)総長になっても、揺れない公正な反腐敗システムを作って定着させることが課題」だとし、「腐敗に厳しく対応しながらも、捜査と起訴過程では人権や民主性、公正性を確保する完成度の高いシステムを定着させてほしい」と述べた。
文大統領は8日、大統領府で開かれた「公正社会に向けた反腐敗政策協議会」で、「政治的中立性の面では、検察がかなりの成果をあげたと思っている。国民が求めるそれ以降の、次の段階の改革にも(期待に)応えてほしい」として、こう呼びかけた。
同日の会議は、「チョ・グク事態」以降、文大統領とユン・ソクヨル検察総長が初めて対面する場で、関心を集まった。文大統領はこれを念頭に置いたかのように、「特別に検察改革に対して一言申し上げる」と口火を切った後、「検察が自ら改革の主体という認識を持って積極的な改革に乗り出していることを幸いに思っているし、高く評価する。しかし、内部改革にとどまらず、法務部と緊密に協力し、改革の完成度を高めるよう、特にお願いしたい」と強調した。
同会議にはユン総長以外にも、チェ・ジェヒョン監査院長やユ・ウンヘ副首相兼教育部長官、イ・ジェガプ雇用労働部長官、オ・ス法務部次官、キム・ヒョンジュン国税庁長、ミン・ガプリョン警察庁長など腐敗防止関連機関の首長と長官など33人が出席した。
非公開で行われた会議では、協議体の基本目標である「反腐敗」のほか、チョ・グク事態以降、国政の最大課題として浮上した「公正」が特に強調された。法曹界をはじめとする高位公職者の 「前官特恵」の根絶案とともに▽塾など私教育市場の不公正の解消案▽公共部門における公正採用の確立と民間拡散案などが核心議題だった。文大統領は就任後5回目を迎えた反腐敗政策協議会の範囲も拡大し、参加対象に教育部と雇用労働部を加えると共に、名称も「公正社会に向けた反腐敗政策協議会」に変更した。「チョ・グク事態」以降、失われているとして批判が高まった大統領選挙の公約、「公正性」を立て直すという意志の表れと言える。また、この場で検察に改革の必要性を強調することで、今後の検察改革だけは自ら直接取り仕切るという意味も重ねて示したものとみられる。文大統領は同日の会議を1時間50分間、直接主宰した。
同日の会議で法務部などが報告した対策にも、「前官特恵」の根絶とともに、検察の恣意的な事件の割り当てを牽制する内容が盛り込まれた。「縁故のある弁護士を回避し、(事件の割り当てを)見直す手続き」を検察の捜査段階に導入するのが柱だ。これとともに、検察出身の前官弁護士が選任された事件の適正処理に対する点検案も、具体的にまとめる予定だ。
一般公務員の「前官特恵」根絶のための案も出た。人事革新処は安全・防衛産業・私学など官民癒着懸念分野の就業制限機関を拡大し、高位公職者の就業審査も強化することにした。国税庁も弁護士や税理士など退職公務員進出分野の税務調査比重を拡大し、これまで相対的に疎かだった公正取引や関税、特許などの領域まで包括して検証することにした。高位公職者が退職した後、2~3年を集中管理の時期に設定し、財産変動状況を見て脱税の嫌疑に対する税務検証を徹底的に行うというものだ。
これと関連して文大統領は、「退職した公職者が過去に所属していた機関と癒着し、捜査や裁判、請願解決まで広範囲な影響力を行使してきた前官特恵は、韓国社会の根深い不公正領域だ」とし、「これまで公職者倫理法を改正して努力してきたが、まだ国民の期待に応える段階には至っていない。前官癒着の素地を事前に防止し、公職者の便法的な関連機関の再就職を遮断する案を強力に施行しなければならない」と述べた。
文大統領が最近強調している教育の公正性を高める案も出た。教育部は、大学入試制度の改善とともに、私教育市場を通じて入試制度が不公正に歪曲されることがないよう、政府レベルで共同対応すると報告した。自己紹介書の代筆または代作、教習費の超過徴収など違法行為が明るみに出た予備校の名簿を公開し、「ワンストライクアウト制」で登録を抹消する案も進める。文大統領は「私教育市場の違法と不公正も正さなければならない」とし、「私教育費の負担が相対的剥奪感につながり、学生簿総合選考に対する不信感も高いだけに、教育の不平等の解消と大学入試の公正性を確保するためにも必ず必要なことだ」と強調した。
文大統領は、若者たちが敏感に反応する「採用の公正性」も強調した。文大統領は「当事者である就業準備生が客観的で公正だと思うまで、採用制度を絶えず補完し、改善してほしい」とし、「公共部門が先頭に立って民間部分も共に努力し、公正な採用文化が社会全体に広がるようにしなければならない」と述べた。雇用労働部は、能力中心の採用文化が現場に根を下ろせるよう、ブラインド採用の履行力を高める」と報告した。
文大統領は同日、協議体を拡大改編したことと関連し、「腐敗を正すことに止まらず、社会全般に公正の価値を根付かせるという政府の強い意志を明確にすることだ」とし、「違法行為の厳罰はもちろん、合法的な制度の枠内でも法の抜け穴をついたり、それを悪用する行為や特権、不公正を許さないという意味だ」と説明した。