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検事長の意向で捜査の程度や方向性を決定…検察に事件割り当ての改善を求める声も

登録:2019-10-30 08:18 修正:2019-10-30 09:24
「不公正な割り当ての素地」検察改革のテーマに 
改革委、具体的な基準作りを勧告 
 
「前官らが特定検事への割り当てを要請」 
「見えざる手」働く可能性を指摘 
 
検察「検事の経験、業務量を考慮 
決定権者の裁量に任せるのが効果的」と説明するが 
前官礼遇、上意下達の改善には同意
ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 「電話1本で特定の検事に割り当てられるようにして、数千万ウォンを受け取る」

 司法改革を触発したイ・タンヒ元判事(弁護士)の発言をきっかけに、韓国検察の長年の課題である事件割り当て問題が、検察改革の主要テーマに浮上した。検察は、根拠が足りない一方的な発言だと反論するが、検察内部でも決定権者の裁量権を幅広く認める現在の割り当て方式を改善すべきだという声があがっている。

■ 検察の事件割り当ての実態とは

 事件の割り当ては告訴・告発および認知事件を担当する検事を決める手続きで、捜査のスタート地点だ。事件を誰に任せるかによって、捜査の程度や方向が影響されるため、検事長の主要な権限の一つとされてきた。外部の目に触れないよう事件を調整できるため、政界や財閥に関連した敏感な事件で、いわゆる「割り当ての妙」がしばしば見られた。

 例えば、2016年末、検察は朴槿恵(パク・クネ)前大統領とチェ・スンシル氏による国政壟断事件をソウル中央地検特捜部ではなく刑事8部に担当させ、事実上捜査意志がないことを示唆した。また、2014年のチョン・ユンフェ氏国政介入疑惑事件の際には、朴槿恵政府の恥部が表われかねない、いわゆる「チョン・ユンフェ文書」の真偽の把握(名誉毀損事件)は告訴・告発事件を担当するソウル中央地検刑事1部に、疑惑の方向を変えられる文書流出の経緯に対する捜査は精鋭メンバーの揃う特捜2部にそれぞれ任せた。さらにさかのぼれば、2004年のサムスン・エバーランド事件の際にも、積極的に捜査を進めていたソウル地検特捜2部の代わりに、金融調査部へと捜査主体を変えた。

 このような割り当てが可能なのは、担当検事を決める検察の基準が曖昧だからだ。最高検察庁の例規「事件割り当て指針」によると、検事長は専担・専門性や指揮・関連性、合理・衡平性、時宜・相当性の4つの基準によって各検事や部署に事件を割り当てる。部署ごとに分担事務があり、細部指針で裁量の範囲を狭める場合もあるが、基本的には決定権を持つ者が任意で決める方式だ。このために改革委は21日、割り当てにおける任意性を排除し、捜査の公正性を確保できるよう、できるだけ具体的な基準を設ける内容の勧告を行った。

■ 検察内外の錯綜した見方

 検察は、現在の割り当て方式が一部副作用はあるものの、検察業務の特性から避けられない部分があるという立場だ。裁判部が構成される裁判所とは異なり、検事は単独で事件を処理するため、検事の経験や事件の難易度、各検事が引き受けた事件の数などを考慮して割り当てるのが効果的だということだ。ある検事は「どの程度力を入れるかを割り当てで決めるため、裁判所のように一括して割り当てることはできない。初任検事と熟練した検事の力の差もかなりある」と話した。

 しかし、恣意的な事件割り当て方式が、前官礼遇と検察の上意下達の文化を堅固にしてきただけに、改善を求める声が内部からもあがっている。ある刑事部検事は「部長や検事長が主要事件を任せてから、思い通りにならないと、担当検事を変える場合がある」とし、「現在の割り当て規則は公正かつ適正に配当すべきと定めているが、非常に抽象的であるためあまり拘束力はない」と述べた。法曹界の関係者は、「告訴や告発があると、まず事件課で預かるが、前官弁護士などの要請を受けた次長や部長が特定の部署や人に担当させてほしいと要求すれば、そのまま行われるケースが少なくない」とし、「任意性が大きい事件の割り当て方式を改善する必要がある」と指摘した。検事出身の弁護士も「知り合いの検事に事件を割り当てるよう検察に要求する弁護士を見たことがある」と語った。

 最高検察庁はまだ具体的な対策を出していない。最高検察庁の関係者は、「これまで決定権者がさまざまな事情を考慮し、配当する方式が最も効率的だと考えてきたが、よりよい方法があるか現場の検事らと話し合って検討する」と述べた。

チェ・ウリ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/915080.html韓国語原文入力:2019-10-30 02:39
訳H.J

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