本文に移動

[ファクトチェック] 安倍首相「韓国が国際法違反」と強弁…強制徴用の賠償は別物だ

登録:2019-08-07 06:53 修正:2019-08-08 08:32
日本の安倍晋三首相が今月6日午前、広島平和記念公園で開かれた原爆犠牲者慰霊式及び平和祈念式に出席している//ハンギョレ新聞社

 日本の安倍晋三首相が6日、「韓国が韓日請求権協定に違反する行為を一方的に行い、国際条約を破っている」と主張した。

 安倍首相は広島原爆投下74周年を迎え、同日開かれた犠牲者慰霊式典に出席した後、記者会見で「(韓国政府には)(請求権)協定をまずきちんと守ってほしい」とし、「韓国側に適切な対応を強く求める」と述べたと、共同通信が報じた。今月2日、韓国をホワイト国(輸出管理優遇措置対象国、8月2日より「グループA」に名称変更)から除外する閣議決定を行って以来、安倍首相が公の場で韓日関係に言及したのは今回が初めてだ。

最高裁の判決は国際法違反なのか?

 安倍首相をはじめとする日本の当局者たちは、韓国最高裁(大法院)の強制動員の賠償判決が1965年に締結された韓日請求権協定違反だという主張を繰り返している。しかし、「植民地支配の違法性」について日本と異なる解釈に基づいて賠償判決を下した最高裁の判決を、国際法違反だと非難する日本の主張には根拠がない。

 昨年10月、韓国最高裁の判決の核心は、「日本の植民支配は違法」だったという明確な解釈だ。1965年の請求権協定締結当時、韓国は植民地支配の違法性を主張したが、日本はこれを認めなかった。したがって、日本は請求権自体を認めず、当時日本が韓国に提供した5億ドルは、植民地支配に対する賠償ではなく、独立祝賀金と経済協力などの名目だった。韓国はこの資金を受け取り、請求権を主張しないことにしたというのが日本の主張だ。植民地支配に対する賠償問題は、両国の間でまともに論議されないまま、“封印”されたのだ。

 しかし、韓国最高裁は植民地支配の違法性を明確に指摘し、これによって1910~1945年に日本によって違法に行なわれた強制動員は賠償されなければならないと判決したことで、請求権協定をめぐる韓日の解釈問題が再燃した。ソウル大学のナム・ギジョン教授は「最高裁の判決は植民地支配という、請求権協定の外にある新たな問題を提起したものだが、日本は請求権協定ですべて解決したという従来の枠組みの中に再び引き入れようとしている」と指摘した。ナム教授は「日本政府が韓国の三権分立を否定するような発言をすることは、内政干渉であり、賠償請求を受けた日本企業を相手に説明会を開いて強制動員の被害者たちに賠償できないようにする行為こそ、不正な外交保護権を行使する国際法違反と見ることができる」と指摘した。

 聖公会大学のヤン・ギホ教授は「1999年、国際労働機関(ILO)が、日本政府に対し強制労働被害者に補償し、被害者の救済に努力するよう公文を送ったことがあり、国家間交渉を通じて個人請求権が消滅しないというのが2000年代以降の国際法の流れ」だとし、日本の主張の盲点を指摘した。

日本はなぜ“現金化の遮断”にこだわるのか?

 現在、日本政府は韓国とのすべての外交協議を拒否している。韓国政府が強制動員の被害者が差し押さえた日本企業の資産売却など“現金化”を防ぐ措置を取り、韓国が自ら強制動員被害賠償問題を解決するという措置を取らない限り、対話に応じないという態度だ。大統領府は先月、日本に2回特使を送ったが、日本が対話を拒否し、米国の仲裁案も日本が拒否したと明らかにした。

 安倍政府が強制動員の被害者に対する日本側の賠償を強く拒否するのは、「これが韓日請求権協定の枠組みを崩すことであると同時に、ここで韓国の主張を受け入れれば、北朝鮮や東南アジア諸国との植民地支配清算問題でも、日本が不利な立場に立たされるという点を念頭に置いたもの」だと、ヤン教授は分析した。

 特に、北朝鮮との国交正常化問題が核心に挙げられる。長期政権にもかかわらず、これといった業績をあげられなかった安倍首相は、小泉純一郎前首相が二度にわたる訪朝でも果たせなかった北朝鮮との関係正常化を図り、歴史問題の最終的解決という遺産を残したいと思っている。このため、安倍首相は最近、北朝鮮に無条件の対話を提案した。

 安倍首相は、輸出規制とホワイト国からの除外などを通じて韓国を圧迫することで、日本にとって有利に締結された65年韓日請求権協定の内容が、韓日関係でも相変わらず有効であることを確実にし、この枠組みを朝日国交正常化のモデルに利用しようとしていると専門家たちは分析する。

パク・ミンヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/904778.html韓国語原文入力:2019-08-06 20:55
訳H.J

関連記事