大統領府と政府与党は10日、北朝鮮の短距離ミサイル発射と関連し、「北朝鮮への人道的食糧支援計画が新たに変わることはない」と明らかにした。
大統領府関係者は同日、記者団に対し「北朝鮮が前日、ミサイルと推定される飛翔体を発射した状況で、北朝鮮への食糧支援計画に変化があるか」という質問に対し、「北朝鮮の飛翔体と(食糧支援に)関連しては、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が昨日、KBS(韓国放送)の対談で述べた話を最終案と見ていいと思う。変化がある場合は発表する」と述べた。前日、文大統領は「北朝鮮に対する同胞愛の側面からでも、食糧を支援する必要がある」とし、「(朝米)対話の膠着状態に突破口を開く効果もあると思う。ドナルド・トランプ米大統領も(7日の電話会談で)『絶対的に祝福する。非常に良いことだと思う』と述べた」と伝えた。
与党と政府も大統領府と歩調を合わせた。イ・イニョン共に民主党院内代表は同日、現場の最高委員会議後、記者団に対し「北朝鮮に対する人道的食糧支援問題は、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権時代も、快く進めるという立場だった」としたうえで、「ミサイル問題とは別に、食糧支援問題は前向きに検討すべきだ」と述べた。さらに、「北朝鮮の収穫状況も悪く、多くは150万トンの食糧が不足しているという」とし、「児童や妊婦、高齢者には致命的な脅威になるため、食糧支援は人道的レベルで直ちに行わねばならない」と述べた。統一部のイ・ユジン副報道官も「食糧支援と関連し、北朝鮮の食糧事情が非常に深刻な状況で、北朝鮮住民に対する同胞愛と人道的レベルの食糧支援が必要だという政府の立場には変わりがない」と明らかにした。
ただし、与党や政府、大統領府は、北朝鮮が最近、2回にわたり飛翔体を発射したことに対する反発世論を意識したかのように、具体的支援の時期と方法などについては慎重な態度を示した。文大統領は前日「(韓米首脳が食糧支援に共感した後)再び北朝鮮の発射があったため、国民の共感と支持が必要だ」とし、「これを機に大統領と与野党の代表が食糧支援問題や安保問題に限定してでも、会合を開くことができればと思っている」と述べた。統一部のイ・ユジン副報道官も「国民の意見に耳を傾けながら推進していく計画だ」と述べ、北朝鮮のミサイル発射に対する国民世論の動向によって、時期が多少調整される可能性を示唆した。
共に民主党でも「食糧支援は行うものの、状況の変化を考慮し、慎重を期すべきだ」という声があがっている。国会外交統一委員会所属のある議員は「基本的に政治と人道支援は分離するのが国際的慣行で、国連の勧告事項であることを考えると、支援した方が良い」としながらも、「事案の深刻性から見て、支援は行うものの速度はやや調節する必要がある」と述べた。別の外交通商統一委員会所属議員も、「人道支援の必要性には共感するが、北朝鮮がミサイルを発射した直後で、世論が簡単に同意できるかどうかは不透明だ」と話した。