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[ニュース分析]第2回朝米首脳会談が公式化…朝鮮半島における「秋の大転換」蘇る

登録:2018-09-12 01:32 修正:2018-09-12 16:58
金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とドナルド・トランプ米大統領//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が親書を通じて、ドナルド・トランプ米大統領との第2回首脳会談を要請しており、両国がこれに向けた調整作業に入ったと、ホワイトハウスが明らかにした。行き詰まったかのように見えた朝米対話が5日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領特別使節団の平壌(ピョンヤン)訪問と金委員長の対米親書をきっかけに再び動き出した。18~20日に平壌で開かれる第3回南北首脳会談と、その翌週にニューヨークで行われる韓米首脳会談を経て、第2回朝米首脳会談へと向かう軌道が描かれた。

 ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官は10日(現地時間)、定例記者会見で「(トランプ)大統領は金委員長の手紙を受け取った。それはとても暖かく、肯定的な手紙だった」としたうえで、「手紙の主な目的は、(トランプ)大統領とさらなる会談を要請し、日程を決めようとするものだった。我々はこれに対して扉を開いており、すでに調整する過程にある」と明らかにした。サンダース報道官は第2回朝米首脳会談の時期と場所については、「決まったらお知らせする」と述べた。これに先立ち、トランプ大統領は7日、記者団に「金委員長が私宛に送った手紙が来ている。肯定的な手紙だと思う」と述べた。

6.12首脳会談以降の朝米関係//ハンギョレ新聞社

 ホワイトハウスが第2回首脳会談をめぐり北朝鮮と協議中だという事実を公表したのは、会談の実現に向けたトランプ大統領の意志がそれだけ強いことを示している。核計画の申告と終戦宣言をめぐり、互いに先制措置を要求して対立してきた朝米が、両首脳による「トップダウン」の決断で接点を見出せるのではないかという期待感が高まっている。ワシントンのある外交消息筋は「両首脳が強力な対話意志を表明しただけに、非常に肯定的なシグナルと言える」と話した。

 ソウルを訪問中の米国務省のスティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表も積極的な意志を示した。彼は11日、イ・ドフン外交部朝鮮半島平和交渉本部長と会談し、「トランプ大統領と文在寅大統領、金正恩委員長が作った今の絶好のチャンスを活用するため、できる限りのことをする」と話した。ホワイトハウスのサンダース報道官も定例記者会見で、「北朝鮮が初めて核兵器を強調しない軍事パレードを行った。善意のシグナルと捉えている」としたうえで、「金委員長の手紙は、引き続き前進することを望む進展の追加的兆候」だと述べた。

 ホワイトハウスが第2回朝米首脳会談に向けた協議に入ったのは、トランプ大統領が先月24日、「非核化の進展不足」と「中国の非協力」を理由に、マイク・ポンペオ国務長官の4度目の訪朝を急きょ中止してから、17日後に出た急進展だ。朝米対話の見通しが不透明になった状況で、文大統領が北朝鮮に特使団を送り、これに応えるかのように金委員長も米国に親書を送る一方、9日の政権樹立70周年記念式典で、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を披露しない軍事パレードを行ったことが、トランプ大統領の心を動かしたものと見られる。

 この過程で、韓国の積極的な役割がある程度効果をあげたものとみられる。韓国政府特使団は今回の訪朝で第3回南北首脳会談の日程を確定し、金委員長から「トランプ大統領に対する変わらぬ信頼」と「トランプ大統領の1期目の任期(2021年1月)内の非核化」の意思を確認した。さらに、金委員長の親書を受け取ったホワイトハウスは「第2回朝米首脳会談に向けて協議中」とを発表した。韓国政府は3月に第1回朝米首脳会談を実現させた際も、4月の南北首脳会談開催を確定し、非核化に対する金委員長のメッセージを米国に伝えることで、トランプ大統領の決断を引き出した。

 これによって「朝鮮半島における秋の大転換」のシナリオに再び弾みが付くことになった。18~20日の第3回南北首脳会談で文大統領と金委員長が非核化の具体策を模索し、今月末にニューヨークで開かれる国連総会で文大統領とトランプ大統領が朝米間の接点を間接打診してから、第2回朝米首脳会談を通じて朝鮮半島非核化の日程と終戦宣言などを交換する「ビッグディール」を達成するシナリオだ。当初検討された「国連総会での南北米または南北米中の終戦宣言」構想は、金委員長の欠席で実現できなくなったが、年内に(終戦宣言が)実現する可能性はまだ残っている。

 バラ色のシナリオだけではない。第2回朝米首脳会談が実現するためには、非核化と関係改善処置をめぐり、朝米が可視的に合意する必要があるものと見られる。朝米は核兵器・施設の申告と朝鮮半島終戦宣言を先に行うことを互いに要求し、対立してきた。米国政府内には、北朝鮮の先制的かつ迅速な非核化を求める世論が依然として強い。ホワイトハウスのボルトン国家安保補佐官は同日、ワシントンで保守団体の行事に出席し、「2回目の(朝米)首脳会談の可能性は確かに存在する」としながらも、「非核化措置を取らなければならないのは彼ら(北朝鮮)であり、我々はそれを待っている」と述べた。NBC放送は同日、米政府高官らを引用し、「北朝鮮が6・12朝米首脳会談後、核弾頭保管施設の入り口を覆う構造物を設置するなど、核活動を隠蔽しようとする努力をしてきた」として、米国側の不信感について報じた。

 金委員長もまた見返りのない一方的非核化措置を取るつもりはないと述べたと、平壌を訪問したロシアのワレンチナ・マトビエンコ上院議長が10日明らかにした。今月、朝米の首脳に相次いで会う予定の文大統領の仲裁力が一層重要になったわけだ。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/861593.html韓国語原文入力:2018-09-11 22:26
訳H.J

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