国連は21日(現地時間)「エルサレムはイスラエルの首都」とするドナルド・トランプ米大統領の宣言を拒否する決議案を賛成128、反対9の圧倒的票差で通過させた。前日、トランプ大統領が反対する国家には援助を切ると“脅迫”し、ニッキー・ヘイリー国連駐在米国大使は「米国は(国連に)寄与してくれと要請される時に、今日のことを忘れないだろう」と“警告”したが、流れは変えられなかった。
今回の事態は米国の国際的地位の墜落を如実に示す。国連のリーダーであった米国が、いつのまにか国際秩序の“守護者”から“破壊者”に変わり、頭痛の種になったわけだ。パレスチナ問題で国際社会は、イスラエルとパレスチナを別の国家と見なす「2国家解決法」と、占領地を首都としては認められないということについて長く共感が形成されている。イスラエルの種々の要求とロビーにもかかわらず、米国はこの“線”を越えることはなかった。ところが、おそらくは国内政治上の目的のためにトランプ大統領は国際社会の混乱を無視してエルサレムをイスラエルの首都だと宣言した。
そのうえ国連総会の表決を控えては、あたかも“チンピラ”のように、露骨に他国を脅迫した。すでに世界が知っている以前の米国ではない。
米国は困難な国々に「援助を中断する」として賛成票を強要した。幼稚な振る舞いだ。また「国連分担金」にも言及した。今年、国連予算の22%を米国が負担した。米国なしで国連は運営できない。トランプ行政府は、米国の「援助」と「国連分担金」を利他的な慈善事業であると勘違いしているようだ。しかし、国際社会の平和と安定は超強大国であり経済大国である米国の国益と直結していることを認識しなければならない。
トランプ行政府は18日、国家安保戦略報告書を発表し、米国の国家安保戦略の主軸として「原則に立脚した現実主義」(principled realism)を提示した。今、トランプ行政府が国際舞台で行っている行動には「原則」も「現実」も見られない。