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北朝鮮核実験“強対強”の荒波に…失踪しかねない「朝鮮半島運転者」構想

登録:2017-09-04 23:51 修正:2017-09-05 07:43
文在寅大統領が4日夜、大統領府官邸でドイツのメルケル首相と電話会談をしている。文大統領は同日午前から夜まで日本やドイツ、米国、ロシアの首脳と相次いで電話会談を行ない、北朝鮮の6回目の核実験以後、対北朝鮮対応の協力案を協議した=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の6回目の核実験で朝鮮半島が“強対強”の荒波に巻きこまれ、大統領府の苦悩が深まっている。大統領府は北朝鮮の度重なる挑発に、これまでに破綻した南北関係を復元するという青写真を取り出すこともできずにいる状況に当惑を隠せずにいる。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は北朝鮮の核実験当日である3日に続き、4日にも北朝鮮発の朝鮮半島安保不安に対処するため腐心した。文大統領は4日、日本の安倍晋三首相、ドイツのアンゲラ・メルケル首相などと連続して電話会談を行い、北朝鮮の6回目の核実験への対処策などを協議した。また、この日大統領府の首席秘書官・補佐官会議では「厳重な安保状況に対する超党派的対処、そして生産的な定期国会のための与野党政府間の疎通と協力政治のために与野党および政府の国政常設協議体の構成が至急と考える」と与野5党に協力を要請した。

 文大統領はその一方で、北朝鮮に対する発言強度を精一杯に引き上げた。文大統領は3日の核実験直後に開かれた国家安全保障会議(NSC)で「呆れかえる過ち」、「強力な報復」、「完ぺきな孤立」という強力な表現を使ったのに続き、4日の安倍首相との通話で「今とは次元の異なる北朝鮮が痛感できる実際的かつ強力な措置」に言及した。これらの用語の選択にも、北朝鮮の予想を越える挑発に対する当惑や焦燥感がにじみ出ている。北朝鮮が文大統領の「ベルリン宣言」や韓国政府の離散家族対面、軍事会談提案に対して「火星-12」型、「火星-14」型という新型ミサイル発射と6回目の核実験という相次ぐ軍事的挑発で対応してきた状況に対する苦々しさが強いということの傍証だ。大統領府内部では、ややもすれば対決構図が固着され、文大統領の「朝鮮半島運転者」構想が機会も得られないままに失踪しかねないという憂慮が大きいという。

 大統領府は北朝鮮の相次ぐ挑発にも「制裁と対話の並行推進」原則には変わりがないという立場だ。大統領府関係者は「長い目で見るべきだ。対北朝鮮政策基調の転換はない」と話した。北朝鮮の挑発に対する強力制裁には積極的に参加するが、制裁の目標は対話という基本原則を維持していくということだ。文大統領も、前日の国家安全保障会議で強力な対応を指示しながらも「すべての外交的方法」に対する注文も忘れなかった。

 問題は、北朝鮮が大統領府の思い通りに制裁と圧迫に屈服し対話に乗り出す兆しが見られないという点にある。むしろ北朝鮮は、追加核実験や大陸間弾道ミサイル発射など挑発を継続する可能性の方が高い。挑発→制裁→挑発につながる悪循環が予想より長期化する可能性が大きくなっているわけだ。大統領府の別の関係者は「文大統領が北朝鮮核問題で手段として対話を強調したことは決してない。制裁・圧迫の結果として北朝鮮が対話のテーブルに出てこなければならないということ」としながら「今の状況では制裁と圧迫のほかには方法がない」と話した。

 しかし「制裁・圧迫強化」という大統領府の方針もまた、成果につながるかは不透明だ。制裁と圧迫が自動的に対話局面に転換されるわけではないので、局面転換のはしごの役割をする具体的方案を同時に摸索しなければならないというのが専門家たちの指摘だ。

パク・ビョンス先任記者、キム・ボヒョプ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/809641.html 韓国語原文入力:2017-09-04 21:52
訳J.S(1618字)

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