米国を威嚇すれば、北朝鮮は世界が今まで見たこともない炎と怒りを見ることになるというドナルド・トランプ大統領の即興的発言は、米国、海外、特に韓国で不安と失望を引き起こしている。永く続いた北朝鮮の威嚇にもかかわらず、韓国は安保のために米国の核の傘に成功裏に依存してきた。今や北朝鮮が朝鮮半島のはるか向こう側まで直接攻撃できる能力を強化している状況で、自国の安保に対する米国政府の憂慮も高まっている。
すでに数十年間、北朝鮮は大都市ソウルに莫大な被害を及ぼす能力を有していた。核兵器がなくとも彼らは韓国人と米国人、民間と軍を問わず多くの生命を奪い取る災難を引き起こすことができた。好戦的な発言にもかかわらず、彼らは攻撃を敢行することはなかった。仮にそうすれば、北朝鮮も完全に破壊されることを知っているためだ。
北朝鮮の核能力と運搬手段が発展したので、彼らが先に攻撃を敢行する可能性が高まったのだろうか?北朝鮮は最終破壊が極めて迅速かつ明確になされるだろうし、その事実は変わっていないことを肝に銘じなければならない。変わったことは、米国大統領の威嚇的発言だけだ。
再びトランプ大統領のまともに準備されていない即興発言に戻ってみよう。トランプ大統領は、私たちが今までよく知っていながらも公開的には明らかにしなかった直接的威嚇、すなわち私たちが北朝鮮を完全に破壊できる能力に公開的に言及することによって、北朝鮮の核兵器開発を阻めると考えているのだろうか?彼は北朝鮮が態度を変えなければ先制攻撃するという意志を暗示しているのだろうか?
トランプの火のような発言は、国際法と正当な先制攻撃の定義を巡り多くの論争を引き起こした。新しい状況が先制攻撃を法的、道徳的に容認させるかに関する質問が提起されている。
一方、新しい核ミサイル能力を確保した北朝鮮は、どの程度まで先制攻撃のリスクを押し切るのだろうか?おそらく、米国が先に攻撃し北朝鮮の核・ミサイル能力を破壊しようとしているという結論が出ないならば、北朝鮮はそうはしないだろう。トランプ大統領の威嚇は、北朝鮮に米国が先制攻撃をする準備ができたと確信させるに足るだろうか?
少なくともこれまでのトランプの火のような発言に対する北朝鮮の反応は、彼に大きな満足を与えることはできなかっただろう。北朝鮮の公式反応は、トランプの発言を「話にもならない」とあざ笑った。過去の経験に照らしてみる時、トランプが言葉のチキンゲームで北朝鮮には勝てないだろうことを私たちは知っている。
私たちは、慢心が強く侮辱に敏感な両指導者が作り出した威嚇と威嚇がぶつかり合う危険区域にいるようだ。威嚇は取り返しのつかない地点を越えて高まりうる。世界の最強大国は、強力な威嚇をする時にも自制するという信頼を与えるべきだ。
真の危険は、北朝鮮が結局トランプが本当に彼の発言どおりに行動するという結論を下しかねないことにある。彼らを抑制するための威嚇のために、彼らが無分別に行動することになり、数十年間避けてきた災難が現実に起きることになるならば、それはどれほど悲劇的だろうか。トランプ大統領が結局、北朝鮮のおぞましい威嚇と不退転の態度により、核先制攻撃も正当化されるという結論を下すならば、それはどれほど悲劇的だろうか。二つのケースはどちらも、その結果を言葉で表現できない大災難になるだろうし、特に韓国にとっては一層そうだろう。私たちが北朝鮮の核兵器をどれほど成功裏に除去しようが、大都市ソウルが数千発の長距離砲によって被る破壊は途方もないものになるだろう。これまでの状況を見れば、米国の強力で長期にわたる同盟である韓国は、彼らの運命を決める過程から排除されている。どれほど悲しいことだろうか。