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韓国政府、閉鎖から7年間返還されていない米軍基地の汚染浄化要求を事実上放棄

登録:2017-07-21 04:03 修正:2017-07-29 07:11
江原道原州市台壮洞の米軍基地「キャンプ・ロング」は2010年に閉鎖された後、34万平方メートルの敷地に米軍が雇用した警備員だけが残って韓国人の出入りを禁止している。写真は今年6月「キャンプ・ロング」正門の風景=原州/キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 韓米環境をめぐる交渉が長引き、閉鎖されてから7年が経っても依然として「米軍の土地」として残っている江原道原州市(ウォンジュシ)の米軍基地「キャンプ・ロング」について、韓国政府が米軍側に対する汚染浄化の要求を事実上放棄する決定をしたことが確認された。これにより、文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後初の米軍基地返還事例になるキャンプ・ロング34万平方メートル(10万坪)の敷地の浄化費用を、韓国が“肩代わり”する可能性も高くなった。

 最近、在韓米軍地位協定(SOFA)環境分科委員会韓国側委員長のキム・ジヨン環境部土壌地下水課長は、ハンギョレとの電話インタビューで「(8月末を目途に推進中の)米軍と次の会議の際、原州キャンプ・ロングに対する環境協議を中断し、『未合意』の状態で外交部主管の『特別合同委員会』に移管する計画」だと話した。キャンプ・ロングをめぐる韓米環境交渉が未合意状態で中断されれば、基地は特別合同委員会を経て、事実上、米軍の浄化措置なしに汚染されたまま返還の手順を踏むことになる。2015年3月に返還された京畿道東豆川(トンドゥチョン)キャンプ・キャッスルや釜山DRMO(サイクル及び埋却処理所)の事例がまさにそうだった。

 政府が環境協議を未合意の状態で中断する理由は、米軍が(汚染の浄化を)拒否する状況で、米軍の責任を追及するよりは、“早期返還”に重点を置いているからだ。2010年、米軍が離れてから閉鎖されたキャンプ・ロングの敷地に、2012年から文化体育公園の建設計画を推進してきた原州市は、中央政府に最近まで70回以上も早期の返還を求めてきた。原州市は国防部に土地売買協約代金665億ウォン(約66億3千万円)も完納した状態だ。キム・ジヨン課長は「前例からして、特別合同委員委員会と国防部主管の施設分科委員会を経て、早期の返還を求める地域社会の意見が加わり、最終的に返還が行われるだろう」と説明した。

 2009年に韓米が合意した「共同環境評価(アセスメント)手続き」(JEAP)によると、米軍基地の返還は「(国防部主管で)返還の開始を決定→環境分科委員会(環境部主管)での協議→施設区域分科委員会の返還建議→合同委員会(外交部)における返還の承認」の手順で進められる。しかし、韓米が環境交渉で合意に達しない場合、環境分科委員会から特別合同委員委員会(外交部の主管)へと協議を移行し、返還作業を加速化させることになる。しかし、(この場合)環境協議とは異なり、米軍に汚染の責任を問うことよりは、返還の手続きを進めるのに焦点が当てられる。

閉鎖から11年、返還から3年間汚染された状態で放置されている釜山鎮区堂甘洞の「釜山DRMO(リサイクル及び売却処理所)」の様子。敷地の西に高層マンション団地が見える=写真、緑色連合提供//ハンギョレ新聞社

 このように特別合同委員会で処理されたキャンプ・キャッスルと釜山DRMO基地は、実際、米軍の浄化措置なしに返還された。米軍が離れた後、キャンプ・キャッスルの20万平方メートル(6万坪)の敷地について、国防部は196億ウォン(約19億5千万円)の浄化事業の発注公告を出しており、68億ウォン(約6億8千万円)の浄化費用が予想される釜山DRMO(8800坪)の場合には国防部と国土交通部が浄化の責任を互いになすりつけて、2年以上汚染が放置されている。

 キャンプ・キャッスルと釜山DRMOの二の舞を踏んでいるキャンプ・ロングの浄化費用も、結局韓国政府が肩代わりすることになる見通しだ。キャンプ・ロングは2001年に基地の外に油が漏れる事故が発生し、政府が2回にわたって浄化費用2億3000万ウォン(約2290万円)を原州市に賠償した。基地内部の汚染の程度と浄化にかかる費用の規模は全く知られていない状態だ。

 浄化費用の肩代わりすることで、国民の負担が増えるにもかかわらず、各省庁や地方自治団体にとっては早い返還が有利な“矛盾した状況”だ。現在「キャンプ・ロングの年内返還がほぼ確実だ」と明らかにしている国防部在韓米軍基地移転事業団は、米軍基地の移転事業に拍車をかけることができ、環境部も長期化する環境協議による負担を減らすことができるからだ。早く土地を提供して活用したい自治体の立場は言うまでもない。毎回このような状況が相まって、ソウル龍山(ヨンサン)米軍基地や東豆川(ドントゥチョン)キャンプ・ホビーなど、これから22の米軍基地の返還の手続きにおいても、原州キャンプ・ロングがもう一つの“前例”となり、影響を及ぼす可能性が高い。

イム・ジソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力:

訳H.J(2003字)

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