文在寅(ムン・ジェイン)大統領が22日に導入を指示した公共部門「ブラインド採用」は、若者に最小限の公正なスタートラインを保証する具体的な措置と見られる。これまで私教育(学校外教育)と入試競争過熱の頂点には採用の差別問題があるという指摘が少なくなかった。緻密な制度およびその定着の努力、民間部門での広がりが続き、学閥社会に象徴される差別社会解消のための第一歩になることを期待する。
文大統領は「今回の下半期から公務員や公共団体に応募する履歴書には学歴や出身地、身体特徴のような差別的要因を一切記載しないようにしよう」とし、民間部門への拡大策も整えるようと指示した。地方移転の公共機関が該当地域の人材を30%以上採用する「地域人材採用割当制」も積極的に反映するように指示した。学歴や地域という代表的な私たちの社会の差別要素を根絶するという意思を示したと分析できる。
これまで深刻な若者の就職難において、就職活動者らは採用過程での差別というさらなる苦痛まで訴えてきた。実際、ある就職ポータルサイトの調査では、求職者の73.2%が学歴などの不公正な条件が採用評価に反映されていると思うと答えている。顔写真や資格類など一部の基準だけで落されたという意見はそのうち半分だった。実際、履歴書に数10万ウォンで撮影した写真を貼り、職務能力や性格とは関係がない各種の資格類や学歴を記載すること自体が、時代遅れである。米国はすでに1967年から雇用上の年齢差別禁止法を導入し写真添付を禁止している。韓国の場合、雇用労働部が2007年から年齢や性別、学歴、写真を載せない標準履歴書を作って普及させているが、昨年、全73の公共団体のうち標準履歴書を使ったのはわずか1カ所にすぎないという調査結果もあった。
もう一つのカギは民間部門への拡散だ。政府はブラインド採用ガイドブックを作って関連法制改正が早期になされるように国会と協議すると明らかにしたが、ややもすると処罰や規制中心になり、政府が民間に過度に介入するという反発を呼びかねない。学歴や専攻は最低限の情報であり、これさえない場合は企業の採用費用の負担が増えるだろうという声があるのもまた事実である。今月内に発表される公共部門のブラインド採用策をていねいに作り、実力中心の評価制度を定着させていくことが重要だ。自発的にこの制度を導入する民間企業を励まし、成果を共有するように支援する策も共に考えていいだろう。
韓国語原文入力:2017-06-22 18:29