トランプ米大統領の公言通り、韓米自由貿易協定(FTA)の再交渉が行われ、主要輸出産業の関税率が引き上げられれば、次期政府5年間、輸出損失額が最大170億ドル(約1兆9億円)に達するという分析が出た。全国経済人連合会姉妹機関の韓国経済研究院(韓経研)は30日、韓米自由貿易協定の再交渉あるいは廃棄に言及したトランプ米大統領の発言と関する波及効果を分析し、このような結果が出たと明らかにした。
韓経研は波及効果を二つの場合に分けて分析した。1番目のシナリオは、韓米自由貿易協定締結以後、年平均貿易赤字増加額が2億ドル以上の自動車・機械・鉄鋼など3大貿易急増産業に限って関税を引き揚げた場合、2017年から2021年まで、今後5年間、輸出損失が最大169億9300万ドル、雇用損失が15万4千人に達するものと推定された。再交渉によって引き揚げられる関税率は、当該産業別に米国の貿易赤字の規模を2012年以前の水準に回復させると共に、最恵国待遇上最大の関税率よりは高くない水準で算定したと、韓経研は明らかにした。例えば、自動車の場合、現行の関税率は0%で、再交渉によって引き上げられる関税率は11.8%が適用された。
2番目のシナリオは自動車・ICT・家電・石油化学・鉄鋼・機械・繊維など7つの主力輸出業種の関税譲許レベルを中間段階まで引き上げる場合、今後5年間、輸出損失が最大66億ドル、雇用損失が5万4千人に達するものと推定された。中間段階の関税譲許レベルは、米国の主張通り関税撤廃期間を今後5年間延期する場合を仮定したと韓経研は明らかにした。
全北大学のチェ・ナムソク教授は「韓米自由貿易協定の再交渉が行われる場合、二つのシナリオのうち、米国の貿易赤字が急増した産業について関税率の調整が行われる可能性が高い」として、「自動車・機械・家電など、米国現地投資を拡大する韓国企業に対し、米国製造業ユーターン企業に提供される減税や規制緩和が同じく適用されるよう要求しなければならない」と話した。