「ユ・シヨン被告人、被告人に実刑を宣告し、逃亡の恐れありと判断されるので法廷拘束します」。
17日午前、忠清南道天安(チョンアン)の 新富洞大田(テジョン)地裁天安支部の1号法廷。30分間判決文を読み下していった判事がユ・シヨン柳成(ユソン)企業会長に懲役1年6カ月の実刑を宣告すると、緊張感に包まれていた法廷に歓声と拍手が沸き起こった。法廷内外を埋め尽くしていた金属労組柳成企業の組合員200人余りは、宣告後ユ会長が護送車に乗る瞬間を見守った。柳成牙山(アサン)支会のある女性組合員は「これまで(裁判所は)私たちが間違っているとばかり言っていたが、ついに彼ら(会社経営陣)が間違っていると言ってくれた」と言った。
現代自動車部品納品会社である柳成企業の事件は「労組破壊」の代名詞のように記録された事件だ。 この日の判決文によれば、柳成企業は2011年7月の複数労組施行を控えて「昼間連続 2交代制」を要求してきた金属労組柳成永同(ヨンドン) ・柳成牙山(アサン)支会を瓦解させるため、労務法人「創造コンサルティング」の諮問に従って会社主導で会社に友好的な第2労組を設立し、これを支援する事にした。 2011年5月18日、会社は労組がストライキに突入すると職場閉鎖を断行し、工場内にいた労組組合員を引きずり出すために暴力ガードマンを動員して多数の負傷者を出した。2011年7月、労組は工場復帰意思を明らかにしたが、会社は一カ月以上職場閉鎖を維持しながら復帰を阻んだ。そしてその間に会社側は第2労組を設立させ、第2労組組合員と金属労組組合員を差別し始めた。 復帰後27人が解雇された。
翌年9月、国会で創造コンサルティングの諮問文書が公開されて労組は柳成企業を不当労働行為の疑いで告訴したが、検察は2013年12月、創造コンサルティングと関連した「労組破壊」の容疑を除外し極めて一部の容疑だけでユ会長などを“温情”起訴するのに留めた。 労組は大田高裁に裁定申立てを行ない、翌年12月裁判所が検察に公訴提起を命令して「労組破壊」の容疑に対する本格的な裁判が開かれることになる。労組が提起した第2労組無効訴訟で去年4月、ソウル中央地裁は「第2労組が会社の主導の下に設立されたため無効」と判決した。 しかし「労組破壊」を主導した経営陣に対する刑事処罰はずっと見送られてきて、この日の判決で初めて、労組が告訴した大部分の犯罪事実が有罪と認められたのである。
6年という時間の中で、組合員たちの身体と心は壊れた。今も18人の解雇者が復帰できないでいる。現場にいる300人余りの金属労組組合員は、第2労組員や会社の管理者と衝突し1300件もの告訴・告発にあい、懲戒委員会に呼び出されねばならなかった。金属労組組合員のうち鬱病など精神疾患で勤労福祉公団から労災を認められた人だけで 7人にものぼる。去年 3月17日、ハン・グァンホ組合員は会社の懲戒を控えて自ら命を絶った。
裁判が終わった後、拘置所に向かうユ会長の後姿を見ながら「グァンホを返せ!」と嗚咽していたホン・ワンギュ組合員は「これまで会社の弾圧のため、こんな目に遭ってまで生きなきゃならないのかと尋ねる組合員を見ながら本当に心が痛んだ」と語り、「いまだに葬儀も行えないでいるグァンホの遺影に酒を一杯捧げなくては」と言った。この日擦り切れた喪服姿でむせび泣いていたキム・ソンミン柳成永同支会長は「30分間判事が読み上げた判決文は私たちの6年間の苦痛だった」として「労組破壊工作以前に戻りたいという思いが切実だ。そのためには会社が、亡くなったハン・グァンホ烈士に対する誠意ある謝罪と責任者処罰、団体協約回復のための努力を見せなければならない」と言った。
韓国語原文入力:2017-02-17 20:18