南北間の非難と威嚇が激化している。冷戦時代を連想させる「敵対的共存」がこのまま定着する勢いだ。双方の自制が必要な時だ。
北朝鮮の官営メディアが25日、大統領府とソウル市内の政府施設を狙った打撃訓練を行う様子を写した写真数十枚を公開したのは、最新の事例にすぎない。数日前は金正恩(キムジョンウン)国防委員会第1委員長が韓国に照準を合わせた上陸訓練を直接指揮している。北朝鮮は今月に入り、新型放射砲と中短距離ミサイルを相次いで発射し、核の脅威を強化した。韓米の軍事訓練も、北朝鮮の主要施設を狙った精密打撃と平壌(ピョンヤン)占領作戦を盛り込むなど、これまで以上に積極的だ。こうした動きをみる限り、双方が戦争の準備に入ったといっても過言ではない。
最近の緊張の高まりの背景には、北朝鮮の核・ミサイル問題と韓米が主導する北朝鮮に対する強い圧迫がある。相手を屈服させようとする神経戦と武力の誇示が相昇作用を引き起こし、南北間の対話チャネルがすべて断ち切られている中、憎しみを煽る声だけが大きくなっている。この流れがさらに続けば、実際に衝突が起こる可能性も高くならざるを得ない。核・ミサイル問題の根本的な解決策を探し出す前に、朝鮮半島を巡る緊張を鎮静化させねばならない状況にある。
憂慮すべきことは、南北の政権が相手に対する敵愾心を当たり前のように捉え、これを権力強化の手段にしようとすることだ。最近の朴槿恵(パククネ)大統領を直接名指しした北朝鮮の非難が大幅に増えたのは、金正恩政権の不安と危機意識を反映している。朴大統領と政府が北朝鮮の「無謀な挑発」の可能性を掲げ、安保危機論を強調するのも穏当とは言えない。北朝鮮の脅威が、朴槿恵政権が失敗した北朝鮮政策を合理化し、“安保攻勢”を正当化する根拠には成り得ない。さらに4・13総選挙を控えて、いわゆる「北風」を利用しようとする意図があるではないかという疑念さえ抱かせる。
今の朝鮮半島の状況は正常とは言えない。その責任は南北にある。敵対的共存を追求するだけでは、何も解決できないことを知るべきだ。
韓国語原文入力: 2016-03-25 19:22