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[コラム]中国が対北朝鮮制裁に消極的な理由

登録:2016-01-14 22:39 修正:2016-01-15 06:40

 北朝鮮の4回目の核実験は、北京の外交界の予想を裏切るものだった。外交界周辺では、1カ月前のモランボン楽団の撤収という“一過性”の悪材料はあったものの、朝中関係が改善の局面に入ったというのが大方の分析だった。金正恩(キムジョンウン)第1書記の訪中が年内に実現するだろうという見通しもあった。4回目の核実験は、このすべての判断が誤っていたことを証明した。

 米国は中国に責任があると主張した。中国が何もせず、生ぬるい対応で事態を悪化させたということだ。西側のマスコミも「中国に生存を絶対的に依存している最貧国北朝鮮すらしっかりコントロールできない」という皮肉を浴びせた。韓国でも「中国がちゃんとやっていれば、全てがうまく行ったのに」という恨み言を言う人が少なくない。

 中国は首を横に振っている。北朝鮮との対話、平和協定の締結を拒否した米国よりも、(中国の方が)はるかに多くのことをしてきたと言う。しかし、いつもの言い訳と決まり文句とされ、あまり聴いてもらえない雰囲気だ。かつて北朝鮮の血盟であり“中共”と呼ばれた国の言うことを、米国の同盟国では、簡単に「メッセンジャー拒否現象」を引き起こす。これは、発言する人に対する信頼がなければ、その人が発言した内容も無視される現象だ。

 ついに朴槿恵(パククネ)大統領は、中国が最も嫌う高高度ミサイル防衛(THAAD)の配備まで言及した。中国は、THAADが自国を包囲圧迫しようとする米国の計略と考えている。このことで中国を北朝鮮に対する制裁からさらに遠ざけるだけでなく、3年間でなんとか培ってきた信頼も、自ら崩してしまう行動になりかねない。

 中国は2013年2月、3回目の核実験後、韓米と歩調を合わせる態度を示してきた。国連安全保障理事会(安保理)制裁に賛同し、北朝鮮とは高位級の交流を中断した。非核化を朝鮮半島政策の優先順位にさせた。朝中関係は冷え切った。中国は4回目の核実験の際、北朝鮮から事前に通知してもらえなかった。

 ところが今回、中国は対北朝鮮制裁にこれ以上踏み込もうとしない。これには、過去3年間の周辺情勢の変化に対する中国なりの評価が込められているものと思われる。

 中国内部では「米国が『戦略的忍耐』を口実に、北朝鮮との対話も拒否したまま、北朝鮮の核を放置し、中国の封じ込めが目的であるアジア回帰戦略に利用した。米国は韓米年次軍事演習を減らす程度の誠意も見せなかった」という認識が強い。中国では「米国は学業(北朝鮮核問題の解決)に興味がない」とまで言われている。中国には「なぜ私たちが北朝鮮の核問題を引き受けなければならないのか?果たしてそれで何の得になるのか」という懐疑心が広がっている。「中国は問題を起こした当事者でも、解決の鍵を握っている国でもない」という中国外交部の発言は、このような感情を反映している。

ソン・ヨンチョル北京特派員 //ハンギョレ新聞社

 北朝鮮に対する圧迫を強めるのは、中国の国益を毀損するという認識も根強い。北朝鮮が崩壊し、大規模な難民が東北3省に押し寄せると共に、在韓米軍が北朝鮮に駐留するのは、中国にとっては最悪のシナリオだ。

 北朝鮮が完全に中国に背を向ける敵対関係になることも望んでいない。韓米日が内心最も望んでいる対北朝鮮送油管の遮断は、中国としては“北朝鮮との永遠の関係断絶と敵対関係への切り替え”という致命的な危険性を持った最後の選択肢だ。米国のアジア回帰戦略は、中国に北朝鮮の地政学的な価値を再確認させる契機となっている。韓米日同盟が強化されればされるほど、中国は北朝鮮を切り捨てづらくなる。中国が孤立するからだ。ある中国外交消息筋は「中国が北朝鮮体制を揺るがすことなく、傷つける程度の対北朝鮮制裁の方法を(模索するのに)苦心している」と話した。

 韓米日にとっては、動こうとしない中国が恨めしく映るかもしれない。しかし、国益を損なってまで他国の要求に応じる国は、地球上に存在しない。

ソン・ヨンチョル北京特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-01-14 19:15

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/726241.html 訳H.J

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