大統領府が「4・16セウォル号惨事特別調査委員会」(セウォル号特調委)が朴槿恵(パク・クネ)大統領の事故当日の行動を含めて大統領府の対応を調査することにしたのに対し、24日「違憲的発想」だとして露骨に不快感を示した。 野党とセウォル号遺家族は「真相調査を無力化させようとするものだ」と反発し、憲法学者たちは憲法条項を恣意的に解釈していると指摘した。
チョン・ヨングク大統領府報道官はこの日、春秋館で、大統領を調査する事にした特調委の決定に対し「政治的争点として見ずに、違憲的発想から脱してセウォル号特調委本来の任務に忠実であっていただきたい」と話した。 しかし「どの部分が違憲的なのか」という記者の質問には「立場だけ申し上げる」として具体的言及を避けた。
大統領府・セヌリ党の与党推薦委員、一斉に
「大統領在職中は訴追出来ないとの憲法84条に違背する」
野党・遺族は「あきれた」
「朴大統領自ら聖域なき調査をすると言った」
学界「憲法を誤って引用して違憲と言っている」
大統領府のこのような反応は、前日午前中に開かれた特調委全員委員会でのコ・ヨンジュ与党推薦委員の発言と脈を一にする。 コ委員はあらかじめ準備したA4用紙2枚を取り出して「大統領に対する調査は刑法上内乱・外患を除き刑事訴追しない(憲法84条)と規定した憲法精神に違背する」として「大統領がセウォル号を沈没させよと言ったのでもなく、救助することができなかったことと行跡調査は何ら因果関係がない」と発言した。
大統領府の立場表明があった後に開かれたセヌリ党院内対策会議は、セウォル号特調委の糾弾場を彷彿させた。 「特調委をこれ以上座視しない」というウォン・ユチョル院内代表の発言に続き、チョ・ウォンジン院内首席副代表は、イ・ソクテ委員長を含め特調委員全員即時辞任▽特調委予算反映禁止▽特調委活動期間延長論議中断などを求めた。 大統領の行動が調査対象に含まれると、与党推薦委員・大統領府・セヌリ党が一斉に動き出したのだ。
野党とセウォル号遺族たちは「あきれた」という反応とともに「真相調査をこれ以上妨害するな」と反発した。 新政治民主連合のユ・ウネ報道官は「政府与党が論点をぼかしながら真相調査を阻み、政争の道具に悪用しようとしている」と批判した。 正義党のハン・チャンミン報道官も「政府与党が一丸となってセウォル号真相調査を妨害すると腹を決めたようだ」と皮肉った。 4・16家族協議会のチャン・フン真相糾明分科長は「朴槿恵大統領自ら聖域なき調査をすると言ったし、家族が知りたいのは大統領の私生活ではない」として、「大統領が公的にどのように行動したのか調査するというのに、憲法に反するとは話にならない」と反駁した。
憲法学者たちは、セウォル号特調委の大統領行跡調査が憲法に違背する余地はないと指摘した。西江大のイム・ジボン法学専門大学院教授は「セウォル号特調委の活動は捜査ではなく調査だ。違憲に言及するのは、大統領の刑事上訴追を兔除するという憲法84条を誤って引用したもの」とし、「また憲法84条の刑事訴追は起訴を意味する。 大統領も捜査はできるというのが多くの憲法学者の見解だ」と指摘した。
憲法学者であるチョン・ジョンソプ行政自治部長官も、過去に自らの著書である『憲法学原論』で「憲法84条で言うところの『刑事上の訴追』は起訴を意味する。(中略)大統領の在職中に行われた犯罪行為に対しても捜査機関はいつでも捜査できなければならない」と明確に敍述している。