「民衆総決起大会」が開かれた14日午後、ソウル中心部で集会参加者と警察の間に激烈な衝突が起こった。道路には警察が放水銃から発射した催涙液があふれていた。衝突の過程で60代の農民1人が警察が発射した放水銃の直撃を受け病院に搬送された。この農民は一時危篤状態と知らされた。
14日午後、ソウル世宗路(セジョンノ)交差点一帯で全国から集まってきた10万人余り(主催側推算、警察推算は6万4千人)の市民が参加した中で民衆大会が開かれた。 53の労働・農民・市民社会団体で構成された「民衆総決起闘争本部」が主催したこの日の民衆大会は、2008年米国産牛肉輸入反対ろうそく集会以後最大規模の集会だ。
午後2時頃から大学路(テハンノ)、ソウル駅、市庁前広場などで青年、貧民、農民、労働者たちは部門別に事前集会を開き、続々とソウル広場に集まった。 参加者たちは集会で政府が推進している歴史教科書国定化や労働改革に反対し、青年失業問題、米価暴落、貧民問題などの解決を要求した。
ソウル広場に集まった参加者は午後4時30分頃から光化門(クァンファムン)側に行進を始めた。 すでに世宗路交差点一帯に車壁を作っていた警察は解散命令を出したが、参加者たちは光化門広場に向けて行進した。 大学路とソウル駅から出発したデモ隊も鍾路(チョンノ)区庁前で警察の車壁に行進を阻まれた。
四方から降り注ぐ催涙液放水銃
警察はデモ隊に向かって放水銃とカプサイシンを発射した。道路には催涙液が白くたまっていた。警察は倒れた人に向けて放水銃を直撃させ、遠くまで照準発射を繰り返し市民たちは激しく抗議した。 警察の無差別放水銃発射により負傷者も続出した。 特に全羅南道宝城(ポソン)から来た農民ペク氏(69)は警察が発射した放水銃の直撃を受け倒れ、ソウル大病院に搬送された。 目撃者の話によれば、ペク氏はデモ隊の前面にいて警察がほとんど直射した放水銃に撃たれ後に倒れた。 「民主社会のための弁護士会」所属のチョ・ヨンソン弁護士は「現場映像を見ると警察が2~3メートル離れた距離から直撃照準し、放水銃に撃たれたペク氏が後方に倒れ頭を負傷したと見られる」として「放水銃の使用は最小限度にしなければならず殺傷目的で使ってはならないのに警察がこれに違反した」と主張した。 ソウル大病院側は「ペク氏は外部からの衝撃による脳出血の症状を示している」と伝えた。 ペク氏は重体と知らされた。 ペク氏はこの日深夜に脳手術を受けた。 ソウル大病院関係者は「病院に来た時は手術が難しいほど極めて危険な状況だった」と話した。 ペク氏はカトリック農民会の幹部として活動しているという。 ペク氏の他にも各所で負傷者が救急車で搬送される光景が目撃された。 市民たちは「殺人政権暴力政権朴槿恵(パク・クネ)政権をたたき潰そう」というスローガンを叫んだ。 「民衆総決起闘争本部」はこの日夜10時現在、ペク氏を含め30人程度が負傷したと集計されたと明らかにした。
警察の催涙液を浴びた市民たちは、目まいを訴えたり激しく咳き込むなど苦痛を訴えた。 大学生イさん(22)は「カプサイシンの濃度基準をかなり超えているようだ。 皮膚がひりひりして目も猛烈に痛い。 当初から道路をこのように遮断しておき、デモ隊にこんなことをしても許されるのか」と声を高めた。
民衆総決起大会、車壁に亀裂…警察、催涙液散布
大会参加者たちは警察バスに綱をかけ引っ張って車壁から引き出しもした。 一時、東亜日報社前の車壁が開けられたが、すぐに警察が重ねて積んだ車壁に遮られた。
また、警察が作った車壁の上では、警察バスを引き出そうとする労働者と警察官が激烈に対峙した。 警察はバスの上からカプサイシンを撃ったり、デモ隊がバスに上がれないようバスに食用油をかけたりした。 車上の放水銃ではなく手で発射する放水銃も登場した。 警察はバスの上に上がろうとするデモ隊に向かって、手持ちの放水銃を直撃し続けた。 激高した労組員たちは警察に向かってペットボトルを投げた。
忠清北道陰城(ウムソン)で21年間果樹農業をしている農民ユ氏(47)は「栽培しても全く金にならず赤字が積もり集会に出てきた。 幸せに暮らしたいだけなのにできない」と集会参加の理由を話した。 ユ氏は催涙液を浴びせられ全身ずぶ濡れで、目は真っ赤に充血していた。 家族と一緒に来た京畿道九里(クリ)市民カン氏(47)は「これはひどすぎる。 なぜ通れないように遮断するのか理解できない。これは不法ではないのか」と話した。
夜が更けてデモ隊の規模が急速に減り、この日午後10時30分現在世宗路交差点には2000人ほどが残って警察と対峙している。 市民たちは車壁の前で「車壁は違憲だ」 「朴槿恵は退け」等のスローガンを叫んだ。 一部の興奮した市民たちは警察に向かってたいまつを投げもした。市民の間からは「車壁に向かってたいまつを投げるな」という叫びも上がった。 警察は解散命令に応じなければ強制解散措置に出ると何回も警告した。 デモ隊は午後11時を少し過ぎた頃、公式に解散を宣言し対立状況を終わらせた。
行進に先立ちハン・サンギュン民主労総委員長は大会辞を通じて「一緒に戦えば勝利して不正な政権を交替させられるという自信を持とう。戦っても変わらないという敗北のくびきを投げ捨てよう」と話した。
警察はこの日デモ参加者のうち暴力を振るった50人を連行し調査中だと明らかにした。 警察庁はこの日夜、報道資料を出して「不法暴力デモを行った集会主催者および暴力行為者はもちろん、背後勢力まで追跡して厳しく処断する方針」とし「警察バスなど警察装備を損壊したデモ主導団体および行為者に対しても民事上の損害賠償を積極的に推進する」と明らかにした。