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韓中FTA関税特恵、中国の暫定税率政策で効果出せず

登録:2015-10-25 22:56 修正:2015-10-26 08:29
中国経済を象徴する上海浦東地域の高層ビル=上海/キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 国会で承認をめぐり議論されている韓中自由貿易協定(FTA)の効果が、中国の暫定関税率政策により大きく失われる可能性が高いと指摘される。交渉を通じ、中国政府から約束された関税引き下げ案よりも、実際にはより低い関税が設けられている商品が多数であり、自由貿易協定に基づく排他的な関税の効果はあまり大きくないということだ。

 25日、政府が今年5月に出した報告書「韓中FTAの影響の評価」によると、「2013年には中国が韓国から輸入した40億ドルに達する航空燃料に9%の関税率が適用されていたが、それが直ちに撤廃されるなど、精油製品を中心に貿易収支改善が顕著になると予想される」(132ページ)と述べている。しかし、中国政府はすでに2013年から、すべての国から輸入するジェット燃料に暫定関税率0%を適用している。暫定関税率は、中国政府が一時的に適用している低い税率だ。他の国々も、特別な要因が発生した場合、一時的に弾力関税を適用する場合があるが、中国は消費刺激などの国内事情に応じて、3年、5年ずつ継続的に低レベルの暫定関税を適用している。結局、政府は、中国の暫定関税政策も考慮せず、「自由貿易協定が妥結すると、精油製品の貿易収支が改善される」という、筋違いな評価を示したのだ。

 8月31日、アン・ジョンボム大統領府経済首席が韓中自由貿易協定の早急な国会承認の必要性を強調する際、例として挙げた電気炊飯器の場合も同じだ。現在、電気炊飯器には15%の関税が課されている。この関税率は自由貿易協定が発効される年から毎年1.5%ずつ低くなるが、アン首席は、今年承認されなければ、来年に1.5%を追加の引き下げの適用を受けられないと説明した。しかし、中国政府は輸入電気炊飯器に、2011年から8%の暫定関税率を適用している。今の状況通りなら、自由貿易協定発効後5年が経過してから(1.5%×5年= 7.5%)ようやく、韓国の電気炊飯器が他の国の製品に比べて低い関税を適用されるようになるということだ。

 国会外交統一委員会所属のチェ ・ジェチョン議員は最近、産業通商資源部に「2015年現在、中国政府が762品目に暫定関税を適用しているが、これを勘案せず交渉を進めたのは問題だ」と指摘した。これに対して産業部は、「暫定税率は一時的に適用する関税であるため、(交渉の)基準税率になれない」と回答したという。産業部関係者はハンギョレとの電話インタビューで「暫定関税のため、自由貿易協定の効果が限定的に見えるかもしれない。しかし、暫定税率はいつ基準税率になってもおかしくないものだ。自由貿易協定が締結されれば、このような不確実性がなくなる」と説明した。

 政府は暫定関税により相殺される関税特恵の全体的な規模も把握できていない状態だ。これと関連し産業部側は「暫定税率は一つの品目の中でもいくつかの条件に該当する場合に適用されることが多く、全体的な(関税特恵の相殺効果の)規模を把握するのに限界がある」と説明した。

 韓中自由貿易協定は、関税引き下げ(譲許)から除外される品目が多く、引き下げも10年以上長期間に渡って行われる品目が多いため、効果が少ないものと分析されてきた。これに自由貿易協定税率よりもはるかに低い暫定関税率が適用される品目が少なくないという点まで確認されたことで、国会承認をめぐり議論が避けられない見込みだ。

 チェ・ジェチョン議員は「韓国とコロンビアの自由貿易協定では、コロンビア政府が他の国に適用する最恵国実行税率(MFNN)が韓国製品に適用される税率よりも低い場合は、韓国製品にそれよりも0.5%引き下げた関税を適用する内容の協約を結んだ前例もあるだけに、再交渉が必要だ」と指摘した。

イ・スンヒョク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-10-25 19:51

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/714401.html 訳H.J

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