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サムスン白血病問題、独自補償本格化で被害者混乱

登録:2015-09-24 21:49 修正:2015-09-25 06:37
白血病などサムスン職業病被害補償交渉を務める調停委員会の顔合わせが18日午後、ソウル西大門区の法務法人「地平」の会議室で開かれ、キム・ジヒョン調停委員長が挨拶している=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 サムスン電子が独自に推進している白血病など職業病補償委員会への補償申請者が60人を超えたが、調停委員会との曖昧な関係のせいで被害者の間に混乱が起きている。「社会的対話」を放棄したという批判と共に、依然として狭い補償対象範囲も問題になっている。

 サムスン電子は23日、「半導体白血病問題解決のための補償委員会」(補償委)が受付を始めて5日間で61人が申し込み、早ければ秋夕(中秋節、9月27日)後に初の補償金が支給される展望と明らかにした。サムスンは今月3日「サムスン電子の半導体などの事業場での白血病などの疾患発病と関連した問題解決のための調停委員会」(調停委)が勧告した公益法人の設立を拒否し、1000億ウォン(約100億円)の基金を出して独自の補償委をスタートさせた。補償委の補償対象は、半導体・LCD事業場で2011年1月1日以前に入社し勤務していた下請け労働者で、補償対象となる疾病を1群(白血病、リンパ種、多発性骨髄種、骨髓異形成症候群、再生不良性貧血、乳癌)、2群(脳腫瘍)、3群(卵巣癌、次世代疾患、稀少疾患、稀少癌)に分けて差別補償する予定だ。

 しかし、サムスンは調停委と補償委の関係について明確な態度を示していない。そのために調停委は17日、報道資料を出し「サムスン電子が提示した補償方式が調停委の調停手続きと並行できる方式かは論議の余地がある」として「補償対象者を代表する交渉主体の間で円満な合意に到達した時、初めて補償問題の社会的解決が成り立つ」と明らかにした。 調停委はこの問題を議論するために半導体労働者の健康と人権を守るパンオルリム、サムスン、サムスン職業病家族対策委員会が参加する非公開の懇談会を提案したが、家族対策委員会の不参加宣言などで未だ開かれていない。

 このような状況でサムスンの独自補償により調停委が無力化され、狭い補償対象もそのままになるのではないかという被害者の憂慮が続いている。全身性硬化症を患っているイ・ヘジョンさん(38)は「補償申請案内の電話を受けたが、すべての被害者に同じように補償せず選別的に独自の審査を経るということに腹が立ち、サムスンの影響力が大きい補償委に個人的に申請することにも不安がある」と話した。 退社14年後に乳癌の診断を受け、補償対象から除外されたパク・ミンスクさん(42)も「劣悪な条件で仕事をして乳癌にかかったし、そのために今も苦労しているのに、まともな謝罪もせずに個人によって補償したり補償しなかったりするのは展示のための補償に他ならない」と話した。

 調停委に参加した被害者とその家族たちの批判も相次いでいる。 サムスン職業病被害者の集いであるパンオルリムは「サムスンは一方的に補償申請を受け付けて、対話を通じて合意に至ろうという調停を拒否し、社会的対話自体も片づけてしまおうとしている」と指摘した。 家族対策委員会被害者と家族5人とは異なり、補償委への参加を拒否してサムスン本館前で15日間座り込み中のチョン・エジョン氏も「サムスンが単独で補償を推進するのは信頼を裏切る行為」と話した。

 一方、米国の市民団体「技術の社会的責任のための国際運動(ICRT)」の設立者であるテッド・スミスさんが今年8月、サムスン電子に送った調停委勧告案の受け入れを促す公開書簡署名参加者が1万人を超えた。これと関連して、サムスンは10日にテッド・スミスさんにメールを送り「調停委の提案のうち、社団法人設立を除く大部分を受け入れた」という既存の立場を固守した。 電子メールでサムスンはまた、積極的に調停委の設立に乗り出した既存の態度とは異なり、調停委を「家族対策委によって提案され作られた非公式で私的な強制性のない団体」と規定した。これはサムスン電子が調停委員長にキム・ジヒョン元最高裁判事を選任することに同意するなど、調停委を尊重した既存の立場とは異なる発言だ。

キム・ミンギョン、イ・ジョンフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/710168.html 韓国語原文入力:2015-09-23 22:04
訳J.S(1836字)

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