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[寄稿]「アジア帰還」VS「アジアの軸」

登録:2015-05-14 00:14 修正:2015-05-14 07:28

 ロシア全域では9日、「大祖国戦争」勝利70周年を記念する行事が開かれた。ウクライナとの内戦渦中でロシアに合併されたクリミア半島のセヴァストポリでも大規模な軍事パレードが繰り広げられた。 1783年以来ロシアの領土で、ソ連のフルシチョフ時代にウクライナに委譲されたクリミア半島の“帰還” 1周年を祝った。 分離独立内戦が進行中のウクライナ東部のドネツク、ルガンスクでソ連軍の犠牲と勝利を賛える行進が続いた。

 一方、ウクライナでは親露指向のヤヌコーヴィチ政権が追い出された2014年からドイツに対する勝利の記憶を消している。 昨年から戦勝記念式を開催していない。 昨年勃発した内戦で、ロシア系住民を虐殺したウクライナ政府軍内のファシスト勢力の政治的復権もほう助している。 ロシアの“歴史的記憶の政治”とウクライナの“記憶抹殺の政治”が衝突している。

 行事で断然目についたのは、終日ウラジーミル・プーチン大統領の隣席にいた習近平中国主席だった。 西側首脳がほとんど姿を見せなかったこの日、習主席夫妻は赤の広場を行進する中国軍のパレードを“余裕ある同盟軍の会心の笑み”で見守った。

 モスクワ当局は記念式直後の5月11日、地中海で両国海軍合同軍事訓練が実施されると発表した。 4月にロシアはS-400防空網システムを中国に提供することで署名を交わした。両国は中央アジア地域でそれぞれ「一帯一路」という中国のシルクロード再建事業と「ユーラシア連合」というロシアの経済同盟戦略の推進で、互いに協力を模索している。 西側の経済制裁を突破し、最近の米日の密着に対応するロシアと中国の同盟強化だ。

 ユーラシア情勢を左右し、朝鮮半島の運命にも直接的な影響を及ぼす米国の“アジア帰還”と、ロシアの“アジアの軸”対立戦線がはっきり水面上に浮上しているわけだ。

 カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領が、記念式で前列の席を占めたのに対し、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコとウズベキスタンのイスラム・カリモフ大統領は記念式に参加しなかった。 ロシアが野心に充ちて推進しているユーラシア連合の進路がそれほど順調ではないことを予告した。

 ナトーは“ユーラシアの心臓地帯”に位置した旧ソ連圏国家に向かって東進している。 ロシアがこれらの国家を効果的に抱き込めなければ、外交的孤立からの脱皮と富国強兵の復活を夢見るプーチンの構想は簡単には実現しない。 西側の経済制裁は、最近ロシアの農業と一部の製造業が活性化する逆説的効果を生み出してもいる。 外勢の干渉と包囲が、ロシア国民の団結と“苦難の行軍”に対する意志を強化させた歴史的経験に注目する必要がある。

 赤の広場での演説でプーチンは、連合国の第2次大戦勝利は、スターリングラード戦闘を経てベルリンまで進撃したソ連軍の寄与に力づけられたものだったことを強調した。 ソ連人民2500万人の犠牲を代価にした勝利がなかったなら、20世紀のヨーロッパ全体がファシズム治下に入る暗黒の時代になっただろう。

 だが、演説の傍点は特定国家の覇権主義と敵対的ブロック化の論理を跳び越える国際秩序の構築を訴えることにつけられた。 国連などの国際機構が平和構築者の役割をしてきたと主張したプーチンは、ヨーロッパとの関係改善を強く表明した。 “新冷戦”に対する憂慮が決して自国の膨張主義にはなく、ロシアが国際協力と平和秩序の構築を指向するパートナーになりうると提案した。

キム・チャンジン聖公会大社会科学部教授 //ハンギョレ新聞社

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相も、他の西側首脳たちと同様この行事に参加しなかった。 ファシストの先祖を持った原罪を捨てられない彼女は、行事を“政治的に”飛び越え、その直後にモスクワを訪問した。 その目的が単に“永遠の火”が燃え上がる無名戦士の碑に献花することだけにあったわけではないだろう。

キム・チャンジン聖公会(ソンゴンフェ)大社会科学部教授

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/691039.html 韓国語原文入力:2015-05-13 18:32
訳J.S(1776字)

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