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[コラム] 低価格たばこと安モノ政府、低質政権

登録:2015-02-23 21:25 修正:2015-02-24 06:46
朴槿恵大統領が23日午前、大統領府で開かれた首席秘書官会議を主宰して発言を終え資料を見ている。 辞意を表明したキム・ギチュン秘書室長は会議に参加せず席が空いている。 2015.2.23 /連合ニュース

就任2年、政策集、MB自叙伝の自画自賛と同じ
旧正月の世論を意識して
安モノの“低価格たばこ”でも吸って死ねと?

 ソル(旧正月)、久しぶりに会った故郷の友人たちの間でこんな会話がよく聞かれました。友人が尋ねます。「たばこ、やめたのか?」 「胸くそ悪くてやめた」 「そうか? よくやったよ」。しばらくして彼は別の友達に近付きます。 「たばこ、やめたのか?」 「むしゃくしゃすることばかりで、やめようにもやめられないよ」 「そうか? それでは一本くれ」。そのまわりに友人たちが集まります。たばこの箱を握った友人は泣き面だが、表情がぱっと明るくなった友人の顔を見て慰められます。

 来年に総選挙を控えた与党としても相当に苦しい選択だったでしょう。すでに犯してしまった悪材料の中で、最も象徴的なのがたばこ値上げ、いやたばこ税の爆上げでした。 鉄壁支持層といっていた老人たちや、さらには嶺南(ヨンナム/慶尚道)の有権者までを動揺させた一つの原因がまさにたばこ税の大幅引き上げでした。10兆ウォン(約1兆1000億円)に達する財政赤字を埋め合わせるために、税金をたっぷり乗せて国民の健康のための禁煙政策だと喚きました。 貧しい喫煙家をカモにするやり方だったので、頭に来ない人がどこにいますか。正月前にセヌリ党が“低価格たばこ”ということを引き出したのはそのためだったでしょう。 政府も勝てないふり退く態勢でした。

 ソルには世論市場が最も活性化します。良くも悪くも世論が一方に収束する時です。 正月を控えて民意がこれ以上悪化するのを防いで、怒りが相乗作用を起こすのを鎮めるために出したのが低価格たばこだったのです。ところが、それがむしろ人々の心を一層泡立てることになりました。 それなら値上げをやめれば良いものを、貧乏人は安モノ たばこでも吸って病気にかかって死ねと? おそらくそうなんでしょう。 ソルが過ぎるや低価格たばこ議論は防寒ズボンの空気が抜けるようにひっそり消えていきます。 名分も実利も、全てを失ったようです。

 就任2年を控えて大統領府は数日前「朴槿恵政権2年政策集」を出しました。 経済、国家革新、国民幸福、統一基盤という4分野の項目別政策成果を集めたものですが、自画自賛そのものでした。 創造経済の生態系を作りました、南北および外交政策の原則と基本を正しく立て直しました、正常ではなかったものを正常化を通じて国家革新の基盤を固めました、各種福祉政策で国民幸福時代を切り拓きましたと言っています。 今年は経済オンドルの火を焚くことで庶民の居間を暖めて、経済回復の結実を刈り取るとまで言っています。

 せっかく寝ついたのに窓を叩く音がするようなものです。どうにも沈滞状態から抜け出せずにいる実物経済、深刻な青年失業、どん底の南北および韓日関係などは全く無視しています。 李明博(イ・ミョンバク)前大統領が一カ月前に出した自画自賛自叙伝の縮小版に他なりませんでした。 大統領就任記念日が近づけば、政権の成果を称賛するのに忙しいのが与党の常ですが、恥ずかしかったのか今年のセヌリ党は口を閉ざしています。 文在寅(ムン・ジェイン)新政治民主連合代表が「朴槿惠政権の2年は庶民経済破綻、分裂と反目の2年」と批判するのを黙って見ていました。

 “大統領の石頭”を自任してきたイ・ジョンヒョン最高委員だけが「これまで磨いてきたのは高速道路とレールで、これからはその上を走ることだけが残っている」と称賛しましたが、孤掌難鳴(片手では音が鳴らない)です。 同調する人がいません。 このような困難な境遇の中で、チョン・ウテク セヌリ党議員はCBSとのインタビューでこのように話しました。 「与党議員が内閣の3分の1を占めるほどに親政体制を強化したが、普通なら政権末期に構成するような親衛部隊をこれほど早く作ったことに対して論議がたくさんある」 経実連が専門家300人に尋ねた朴槿惠政権2年に対する評価は惨憺たるものでした。 回答者の78%が朴大統領のリーダーシップに対して“非民主的”と評価したし、5点満点で1.8点しか与えませんでした。 政策に対する評価でも82%が“失敗した”と答え、その理由として公共性欠如が56%、人事失敗が54%に達しました。公約履行についても落第点でした。 大統領公約674個のうち421個が後退したり放置されていると見て、国民大統合公約は0%であり、経済民主化分野は18公約中の5個だけ、創造経済公約14個中で1個だけが履行されたと答えました。 実際やった仕事は息をすることだけだったようです。 国政刷新のために交替しなければならない国務委員と機関長は、偶然にも大統領が寵愛する順でした。 チェ・ギョンファン副総理(50%)、ファン・ギョアン法務部長官(35%)、イ・ワング国務総理(24%)等。 交替しなければならない補佐陣はキム・ギチュン秘書室長(88%)、機関長はキム・ジンテ検察総長(46%)でした。

 大統領が失敗することを願う国民は多くありません。 国家の失敗、国民の不幸に直結するからです。 その場は慨嘆と批判があふれます。 しかしそれは逆に見れば忠告になります。 参考までに今日開かれた経実連評価討論会の主題は「敬遠された民生、墜落した信頼、どのように回復するべきか」であり、新政治民主連合の主題は「不疎通のリーダーシップ、崩れた民生経済」でした。 要するに、信頼を回復し民生を生かそうということです。信頼の土台は正直です。

クァク・ビョンチャン先任論説委員//ハンギョレ新聞社

 国民を欺こうとしないでください。 たばこの値上げと低価格たばこ論議は、この間に犯した数多くの偽りとだまくらかしの標本でした。 財政赤字が深刻だから税金を多く集めるといえば、その場は叱責にあおうとも信頼を失うことはなかったでしょう。 ところが、禁煙を促進し国民の健康を増進させるという嘘をならべて、たばこの値段(たばこ税)を暴騰させました。 その上に低価格たばこだなんて、貧しい人々や収入のない老人たちは安モノたばこでも吸って早く死ねということですか? そんな嘘が繰り返されたので、この政権はそれこそ安モノ政府、低質政権になりました。 口を開けば基本と原則を重視すると言いますが、それなら正直な政権、正直な政府を宣言して実践してください。

クァク・ビョンチャン論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/679281.html 韓国語原文入力:2015/02/23 17:52
訳J.S(2894字)

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