韓国内の原子力発電所を管理する韓国水力原子力(韓水原)の原発の図面などがインターネットに連日、流出して不安が広がっている。犯人と思われる人物は23日、原発の図面を含めた5回目掲示物をツイッターに載せた。政府の合同捜査班は犯人らしき者が使用したIPアドレスが中国の瀋陽に集中していることを確認したと明らかにしたが、犯人の居所はまったく分っていない。このような状況で政府与党はこの事件をサイバーテロ防止法制定という、とんでもないことに利用しようとする動きを見せている。国民の不安を政治的な目的に用いるという批判がなされるしかない。
その発端は朴槿恵大統領の発言である。朴大統領は23日、原発の資料流出事件を国家的な安保問題として、背後の勢力を明らかにするよう求めた。24日にはセヌリ党が大統領の発言に呼応するように確たる根拠もなしに北朝鮮の背後説を指摘した。またファン・キョアン法務部長官はさらに踏み込んで「北朝鮮の仕業である可能性を持って捜査している」と話した。現在までに犯人の正体について明らかになったことは実際には何もない。さまざまな可能性が議論されているにすぎない。
それにも関わらず政府与党が北朝鮮の仕業と見ようとしているのはこの事件を口実にサイバーテロ防止法を会期中の臨時国会で成立させようとする目的があるのは明らかである。ウォン・ユチョル議員が北朝鮮の仕業である可能性を指摘し、野党に対して「法案(サイバーテロ防止法)の成立に協力すべき」と話したことが分かりやすい例である。しかしサイバーテロ防止法はサイバー空間に対する強大な監視権限を国家情報院に認める危険このうえない法案だ。それでなくとも国家情報院の国内政治介入によって国民の不信が充満しているところである。政府与党が北朝鮮背後説を振りかざしてサイバーテロ防止法の成立を求めることこそ不純であるという話に耳を傾けるべきだ。
犯人と自称する「原発反対グループ会長」という人物は古里1、3号基と月城2号基のクリスマスから3か月間の稼動停止を求めている。さらに中断しなければ約10万枚の資料を全て公開して2次破壊を実行すると脅迫している。専門家たちは回を重ねるごとに流出資料の質が上がっているとし、10万枚であれば原発の機密資料は全て奪われたと見るべきだと話している。最悪の場合は原発の稼動停止まで成されうるという警告までされている。それでも韓水原は追加公開された資料は特に問題になるものはないとしか言っていない。政府は、間違ってもいいじゃないかといったようなやり方ではなく、正格な流出経路を明らかにすることに注力するよう望みたい。
韓国語原文入力:2014/12/24 18:27