韓国で稼動中の原発4か所の周辺で暮らし甲状腺ガンにかかった住民とその家族1336人が、原発を運営する公企業である韓国水力原子力(韓水原)を相手に損害賠償請求の共同訴訟を提起した。
「反核釜山市民対策委員会」、「慶州環境運動連合」、「霊光核発電所の安全性確保のための共同行動」、「核から安全に暮らしたい蔚珍の人々」など8つの反核団体は16日、「釜山古里(コリ)原発、慶北月城(ウォルソン)原発、慶北蔚珍(ウルチン)原発、全南靈光(ヨンガン)ハンビッ原発を中心に半径10キロ以内に5年以上住んでいる、あるいは住んでいたことのある甲状腺ガン発病住民301名が、同日釜山地裁東部支所に損害賠償請求訴状を提出した」と明らかにした。
今回の共同訴訟には古里原発191人、月城原発46人、蔚珍原発30人、ハンビッ原発34人の原告が参加した。また、甲状腺ガンの発病により精神的・経済的被害を受けた原告の家族1035人が韓国水力原子力に慰謝料を請求した。
共同訴訟に参加する原告と家族は1336人だ。損害賠償請求の金額は原告一人当たり1500万ウォン。原告の配偶者は300万ウォン、原告の親・子どもは100万ウォンの慰謝料を請求した。
共同訴訟はこの10月17日、釜山地裁東部支所が古里原発周辺の住民パク氏(48)の甲状腺ガン発病と関連し、韓水原の責任を認めた判決に伴うものだ。
訴訟代理人であるピョン・ヨンチョル弁護士は「甲状腺ガン発病の被害だけを問題にする今回の共同訴訟に、全国で稼動中の4つの原発周辺に住む301名の住民が原告として参加した。この事実だけでも今回の共同訴訟の意味は大きい」と話した。全国の原発周辺の住民301名が共同訴訟に参加したこと自体が、原発と甲状腺ガン発病との因果関係を裏付ける重要な実質的証拠になるということだ。
ピョン弁護士は「韓水原は検診技術の発達のために原発周辺の住民の甲状腺ガンが急激に多く発見されただけと主張しているが、すでに発病していて、検診を遅れて受けた可能性もある」と話した。
反核団体は今回の訴訟に参加していない甲状腺ガン発病住民たちまで考慮すれば、全国の原発周辺住民の相当数が甲状腺ガンで苦しんでいると言えると主張した。
反核釜山対策委のチェ・スヨン共同執行委員長は「訴訟の原告を集める過程で、釜山の古里原発近くの一部の村では、二軒に一軒の割合で甲状腺ガン患者が発生していたことが確認された。夫婦が一緒にガンにかかるなど、一世帯で2人以上が甲状腺ガンにかかったケースも10件にのぼる」と話した。
反核市民対策委のパク・ヨンス共同代表は「韓水原は甲状腺ガン発病の実態把握と根本的な対策樹立に乗り出すべきだ。全数調査を通して正確な被害規模と範囲を把握した後、放射性物質安全管理対策を立てなければならない」と韓水原に対策を要求した。これらの団体は今月中旬から来年1月末まで、共同訴訟第2次原告を追加募集する予定だ。