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[分析] 韓国捜査当局がカカオトークに続きネイバーバンドも“SNS査察”

登録:2014-10-14 10:14 修正:2014-10-14 11:49
カオトークと公権力のサイバー査察に抗議する第1回市民行動の会員たちが13日午前、ソウル龍山区漢南洞のダウムコミュニケーションの前で利用者の情報提供と公権力の不当なサイバー査察を糾弾している。イ・ジョングン記者//ハンギョレ新聞社

 代表的なソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のカカオトークに続き、ネイバーバンドまでが“査察”問題に巻き込まれ、利用者の不安が増幅している。無数の利用者が連結して自由に疎通するSNSの特性を無視して、「とりあえず洗ってみよう」といった押収捜索の慣行に、大統領批判の世論を取り締まろうとする意図まで加わり“サイバー査察”論議は過熱の一途をたどっている。

■なぜ“SNS査察”が深刻な問題なのか

 先月18日に検察が「関係機関対策会議」を通じてサイバー名誉毀損に対する厳正な処断方針を明らかにしたなかで、すでにカカオトークとネイバーバンドの情報が広範囲な押収捜索対象になっているのが確認された。警察は「通常の押収捜索であり、捜査に必要な事項の他は見ていない」と釈明している。だが、それは押収捜索対象者と連結しているというだけの理由で、自分も知らないうちに“捜査対象”になる不特定多数の人々にとっては捜査便宜主義的発想でしかない。SNSに含まれた情報は伝統的押収捜索対象である物や場所とは次元が異なるためだ。

 金融口座や電子メールの押収捜索でも、第三者の身元が露出することがある。SNSの場合は、たった一人が数百、数千人、あるいはそれ以上と連結され内密な対話が行き来する。労働党のチョン・ジンウ副代表側は、カカオトークに連結されていた約3000人の情報が「洗われた」と主張している。その意味で一対一の対話を盗み聴く電話盗聴とは比較にならない。

 さらに鉄道労組のパクセジュン氏のネイバーバンドのアカウント押収捜索内容を見ると、対話内容はもちろん相手方の加入者身元情報まで警察が要求したとある。一人の犯罪容疑を調査するなかで、その人物とオンラインで連結された数多くの人々の情報を対象者も知らないうちに収集しているのだ。捜査の本流と関係ない情報まで芋づる式に掘り出すことができるのだ。

オンライン空間を手当たり次第に洗いまわす
不特定多数を対象にした“捜査便宜主義”
電話盗聴とは比較にならない

検察、大統領の一言で一気呵成
問題がおきても責任回避に躍起
裁判所も‘習慣的’な令状発布

押収捜査による“間接被害者”は集団で反発している。 チョン・ジンウ労働党副代表とカカオトークの同じチャットルームにいた彼らは「カカオトークと公権力のサイバー査察に抗議する市民の行動」の名で13日、ダウムカカオのソウル漢南(ハンナム)洞の社屋前で「カカオトークと利用者の情報や対話内容が公権力にどのように提供されたか明らかにせよ」と訴え記者会見を行った。彼らは「互いに便りを共有し、懸案に対する内密な悩みを分かち合った私たちの情報が、検察や警察にそのまま流れたと思うと寝るに寝られなかった。裸にされた気分だった」と明らかにした。

■安易な検察・警察・裁判所

 問題の出発点の役割を果たしたのは、先月16日にされた朴槿恵(パク・クネ)大統領の閣僚会議の発言と、それを受け二日後に大検察庁が開催した対策会議だ。検察は普段、企業などに対する押収捜索の際は必要最小限の範囲で実施すると言い、一方では強力な個人情報流出事犯の捜査を行っている。

 しかし、犯罪とまったく関係ない多数の情報を捜査機関が確保し、それが政治的に悪用されるかも知れないと憂慮されているにもかかわらず、検察などは「法に則っただけ」という立場だ。デジタルを基盤とする“SNS時代”がアナログ的な捜査慣行と摩擦を引き起こし“サイバー亡命”という事態が発生しているのに、なんら改善策も出される兆しがない。ファン・ギョアン法務部長官は13日の国政監査で「電子情報に対する押収捜索の統計は特に管理してしない」と話した。 数多くの人に対する人権侵害素地が大きい事案であるのに、一般物押収捜索のように扱っていることだ。

13日午後、ソウル中区の韓国プレスセンターでイ・ソクウ ダウムカカオ共同代表が個人プライバシーの侵害に関連して謝罪し頭を下げている。キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

問題意識が希薄なのは裁判所も同じだ。犯罪容疑に関連したものだけを対象に限定する努力より、特定機関の対話と加入者情報をすべて確保できるように押収捜索令状を発行している。すでに米国では、1980年代にデジタル証拠の包括的押収捜索の問題点を意識した連邦裁判所が「犯罪と関係ない資料に関連する資料が混在して現場から分離することができなければ、捜査機関は資料を封印した後、別途に令状を発行しなければならない」という判決を出している。

 首都圏地域のある裁判所部長判事は、「通信事実確認資料の要請は今まで検察が独自にしてきたもの」としながら、「捜査初期段階に基礎資料を確認する場合が多いため裁判所でも問題意識が希薄だったのは事実だが、これからは司法的判断を強化しなければならないと考える」と話した。

 ハ・テフン高麗大学法学専門大学院教授は今回の問題の本質に、大統領に対する“名誉毀損”の取り締まりなど政治的背景があることについて、「国民を成熟した民主市民と考えないことに問題がある」と話した。

イ・ギョンミ、ノ・ヒョンウン、ジョンファンボン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014.10.13 22:25 

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/659642.html 訳Y.B(2281字)

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