今年3月、ソウル江南区新沙洞(カンナムグ・シンサドン)の街路樹通り近くの半地下に住んでいた60代の男性Aさんが、遺体で発見された。死亡して数カ月が過ぎていた。発見当時、家賃と電気料金は3~4カ月ほど滞っていた。1月にはソウル中浪区(チュンナング)のある集合住宅で、60代の男性が孤独死している。
社会と断絶して一人で過ごすうちに死を迎える孤独死。昨年は韓国で孤独死の死者が大幅に増えた。孤独死の死者の2人に1人は50~60代の男性だった。ライフサイクル上、失職や離婚が多く、女性に比べて人間関係を結ぶことが難しいなど、50~60代男性の特徴が反映された結果だとの分析が示されている。
保健福祉部が27日に発表した「2024年孤独死発生実態調査の結果」によると、昨年の孤独死による死者の数は3924人で、前年に比べ7.2%(263人)増えた。コロナ禍で社会的孤立現象が激しかった2020年(11.2%)以降で最も高い増加幅だ。2023年の増加幅は2.9%だった。人口10万人当たりの孤独死による死者の数も、前年より0.5人増えた7.7人。孤独死の主な背景の一つが「経済的困難」であることを考えると、昨年の物価高と雇用不安が孤独死の増加に大きく影響を及ぼしたとみられる。コロナ禍直前の2019年に比べると、孤独死による死者数は33.1%増えている。
孤独死は、家族や親戚などの周囲の人々と断絶し、社会的孤立状態で生活していた人が、自殺や病死などで臨終に至ったもの。今回の調査は、5万7千件あまりの警察庁の刑事司法情報データ、社会保障給与と医療サービスの利用記録をもとに、韓国社会保障情報院孤独死予防調査研究センターが実施した。
孤独死は50代が30.5%、60代が32.4%を占める。性別では、男性(81.7%)が女性(15.4%)の5倍にのぼる。特に50~60代の男性の割合は54.0%で、同年代の女性の割合(7.4%)を大きく上回る。孤独死による死者の2人に1人は50~60代の男性だということになる。このような孤独死の年齢、性別上の特徴は、最近5年間で一貫している。
単身世帯の増加、家族解体現象、雇用不安などが、全般的に孤独死を増やしている要因とされる。孤独死が50~60代の男性に集中するのは、その他の年代や女性より社会的孤立のリスクが高いからだ、というのが専門家の説明だ。
仁川大学のチョン・ヨンホ教授(社会福祉学)は、「中高年男性は仕事を失ったり社会的ネットワークが断絶したりすることによって人生の意味を失い、自分の世話をしないセルフネグレクトに陥って孤立やひきこもり状態に置かれやすい」と述べた。福祉部地域福祉課のウ・ギョンミ課長は、「自身の困難を他人に吐露したり率直に表現したりできないという中高年男性の特徴も、孤独死を招いている」と語った。市民団体「参与連帯」のチョン・ウンギョン社会人権チーム長は、「福祉制度が主に児童と高齢者、障害者中心に設計されているため、中高年男性は福祉の死角地帯に置かれている」と指摘した。
政府は孤独死を防止するため、孤独死につながりやすい「社会的孤立」の特徴、孤立した人が必要とするサービスなどを調べる「社会的孤立実態調査」を来年実施する。福祉部のパク・チェマン福祉行政支援官は「孤独死にとどまらず、社会的孤立にまで政策の範囲を拡大する予定」だとし、「就職支援や社会関係網形成プログラムの運用など、50~60代の中高年に合わせたサービスも打ち出す予定」だと述べた。孤独死と社会的孤立の危険群を早期発掘して支援する孤独死危機対応システムは、来年2月から運用される。