韓国では50~60代の中高年層が孤独死に最も脆弱だった。早期の失職や離婚などで経済的困難に直面した人は、深刻な社会的孤立を感じると分析される。彼らを地域社会とつなげるとともに、福祉サービスを提供する専門人材の確保が急がれるとの提言がなされている。
保健福祉部が14日に発表した「2022年孤独死実態調査の結果」によると、昨年孤独死した人全体に占める50代の割合は29.6%(1001人)、60代は29.0%(981人)で、孤独死総数(3378人)の半数以上を占めた。70代は12.5%、80代は6.0%だった。通常、死亡者は疾病などに脆弱な80代以上(35%ほど)が最も多いが、孤独死では50~60代(52.8~60.1%)の中高年層が最も脆弱だった。
性別では男性の孤独死が女性の4倍を超えていた。2021年は男性の死亡者が2817人で、女性(529人)との差が5.3倍へと拡大した。ここ5年間の男性の孤独死の年平均増加率は10%で、女性(5.6%)の約2倍だった。死亡者全体に占める孤独死の割合も、男性は1.3~1.6%、女性は0.3~0.4%だった。
年齢と性別を総合すると、50~60代の男性が孤独死の半数ほどを占めることが確認された。2017年からの最近5年間の孤独死に占める50~60代男性の割合は、45.3%→47.2%→46%→51.5%→52.1%と推移。福祉部の分析によると、失職・退職や離婚などで社会的関係が突然断たれた中高年男性の孤独死が比較的多い。「男性=経済活動、女性=家事」という社会的雰囲気の中で成長し、家事労働などに不慣れなこの世代の男性が1人世帯になると、孤独死の危険性が高いという説明だ。ソウル市福祉財団のソン・インジュ研究員は「働いていない中年男性に対する社会的視線は今も冷たいため、彼らが経済的困難に直面すれば、周囲の人とコミュニケーションを取ることを難しく考えるケースが多い」とし「失職、事業の失敗、離婚などが社会関係の断絶の主な原因になる」と語った。
孤独死に占める自殺の割合は16.5~19.5%だった。若いほど自殺が多かった。2021年は、20代の孤独死において自殺が占める割合は56.6%、30代は40.2%で、平均(17.3%)を大きく上回った。福祉部は「20~30代は自ら社会との断絶を選択し、福祉サービスなどを求めないケースがある」とし、「青年層の孤独死予防政策や精神・心理支援などの自殺予防政策を積極的に連係させる必要がある」と説明した。
福祉部は債務の内訳などをもとに孤独死のリスクがある人を発掘し、生活・心理支援などのサービスを提供する「孤独死予防・管理モデル事業」の全国への拡大を検討中だ。モデル事業が実施されているのは、現在はソウル、京畿、釜山(プサン)などの9市道のみ。問題は人材だ。韓国社会保障情報院の資料によると、邑・面・洞の1人の訪問福祉公務員が受け持つ危機世帯調査は113.4件。ほとんどの自治体では、危機世帯発掘対象者を支援する業務と孤独死予防事業を同じ社会福祉公務員が担っている。梨花女子大学のチョン・イクチュン教授(社会福祉学)は、「孤独死のリスクのある人が社会に吸収されるためにはどのように関係を結ぶかが非常に重要で、公共機関はもちろん、隣人などの市民の力も必要だ」とし、「(地域の社会福祉士などを)名誉公務員などに指定し、孤立した人々を届け出たり、福祉サービスを伝えたりすることができるだろう」と語った。