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韓米極右、「チャーリー・カーク訪韓」動画を連日伝播…「MAGAの世界化に動員」

登録:2025-09-20 06:44 修正:2025-09-20 07:54
「ビルドアップコリア」のキム・ミナ代表(右)が、6日に京畿道高陽のキンテックスで開かれた「ビルドアップコリア2025」行事で、「ターニングポイントUSA」創立者のチャーリー・カーク氏の肩に手を当てて祈っている=チョン・インソン記者//ハンギョレ新聞社

 「彼の犠牲で流した血が米国と韓国を新たにすると信じています」

 米国のMAGA(米国を再び偉大に)活動家チャーリー・カーク氏が銃に撃たれて死亡したというニュースが伝わった11日(韓国時間)、自らを「コリアン・ヤングMAGA」と呼ぶ「ビルドアップコリア」代表のキム・ミナ氏(36)は、インスタグラムのアカウントに追悼文を掲載した。キム代表はカーク氏の死を「犠牲」と呼び、「韓国を心から愛する米国人として、チャーリー・カーク氏は生涯初めてのアジア訪問の際、真っ先に韓国の地を踏み、韓国が米国にとってどれほど大切な存在なのかを伝えた」、「韓国の青年たちが一丸となってチャーリー・カーク氏のために捧げた祈りが決して無駄ではなかったことを宣布する」と綴った。

 韓国内の極端な政治的主張を続けてきた人々が自分たちの存在感を表わし、過激な声を伝播するのに、カーク氏の死を活用する様子が相次いで見られる。カーク氏は今月5日と6日、京畿道高陽(コヤン)のキンテックスで開かれた「ビルドアップコリア2025」の行事に出席した後、その6日後に米国ユタバレー大学で演説中に銃撃を受け死亡した。カーク氏は韓国滞在中、反中、反北朝鮮、反移民、反トランスジェンダーなどの主張を説いたが、その様子を示す映像や掲示物をシェアし「彼に従う」と誓うやり方だ。カーク氏の韓国訪問映像は米国のMAGAたちの間でも広くシェアされており、政治テロに対する警戒や追悼を越え、「MAGAのグローバル化」において韓国が利用される契機になりうるという懸念が高まっている。

 19日、ビルドアップコリアの公式インスタグラムアカウントには、カーク氏の生前の姿を撮った写真と映像が多数掲載されている。キム・ミナ代表がビルドアップコリアで「チャーリー・カークのために皆で祈ろう」と言いながらカーク氏の体に手を当て「按手祈祷」をする動画には、9万人余りが「いいね」を押した。この動画には「チャーリーはこの時代の殉教者で、若者たちの信念のために亡くなったと信じている。私と私の子どもたちはあなたの道に従う」、「韓国が引き続き革新・左派イデオロギーに対抗して戦うことを願う」といったコメントがついた。

 彼らの間で広がっているカーク氏の訪韓映像は、大半が時代遅れの反共理念を強調するものだ。例えばカーク氏は訪韓初日、仁川(インチョン)の自由公園にあるマッカーサー将軍の銅像の前でブイログ動画を撮ってTikTokのアカウントに載せたが、これには「米国がなかったら今の韓国もなかった。おそらく全体主義国家になっていただろう。そうなったら、北朝鮮のように言いたいことも言えず、洗脳される国になっていただろう」という発言が含まれている。ビルドアップコリアはこの動画をインスタグラムの公式アカウントにシェアし、「チャーリー・カークの声が韓国の地でも鳴り続けるようにする」と述べた。

尹錫悦前大統領の支持団体である自由大学が15日午前、ソウル中区の崇礼門広場近くで開いた米国右翼青年活動家チャーリー・カーク氏の追悼行事で、参加した市民が黙祷を捧げている=チェ・ヒョンス記者//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領を支持する青年団体である「自由大学」のパク・ジュニョン代表も11日、自身の「スレッズ(Threads)」のアカウントにカーク氏を追悼する文を投稿した。彼は「先週、ビルドアップコリアで初めてカーク氏に会った。彼は『韓国が共産主義に呑み込まれることを防ぐために、米国が助ける』と言ったが、この言葉から大きな励ましと希望を得た」と綴った。自由大学は最近、カーク氏の追悼場所を自由公園やソウルの崇礼門(スンレムン)付近などに設けた。彼らが明洞(ミョンドン)や華陽洞、(ファヤンドン)、大林洞(テリムドン)などの中国同胞密集地域で開く「反中」集会には「私がチャーリー・カークだ」というスローガンと共に、カーク氏の写真が例外なく登場する。

 カーク氏の訪韓当時の活動は、韓国だけでなく米国の極右勢力の間でも広くシェアされている。カーク氏と共にビルドアップコリアの行事で韓国を訪れた極右インフルエンサーのロブ・マッコイ牧師は14日(現地時間)、米カリフォルニアのニューベリーパークでカーク氏を追悼する礼拝を開き「韓国で彼と共にできたその瞬間がとてもありがたい。彼の死は決して偶然ではない。我々は霊的な戦いの真っただ中にいる」と発言した。

 専門家らは、カーク氏の死を機に韓米両国の極右勢力が連帯を強化する様相に懸念を示している。西江大学のソ・ミョンサム教授(宗教学科)は、「死亡直前に韓国を訪れたカークの姿が、まるで『殉教者の最後の姿』のように称えられ、絶えず話題になるなら、トランプ政権後、韓国を拠点にアジア地域で影響力を広げようとする米国MAGA勢力の試みに火をつける恐れがある」と懸念を示した。ザ・可能研究所のソ・ボクキョン代表も「米国MAGA勢力と静かに連帯関係を築いてきた国内の極右勢力が、最近になってその関係を公にして売り込んでいるような様相が加速化している」とし、「韓国の極右勢力が自力で勢力を広げるというよりは、米国MAGAのグローバル化戦略にともない動員されている状況なので、その危険性はさらに大きい」と語った。

チョン・インソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1219668.html韓国語原文入力:2025-09-19 15:32
訳H.J

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