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「MAGA」勢力はなぜ韓国に注目するのか【寄稿】

登録:2025-09-12 14:24 修正:2025-09-13 09:44
ソ・ボクキョン | ザ・可能研究所代表
6日、京畿道高陽市のキンテックスで「ビルドアップコリア2025」のイベントが開かれている=ユン・ウンシク記者//ハンギョレ新聞社

 先週、米国の「MAGA(Make America Great Again・米国を再び偉大に)」勢力と関連した二つの事件があった。一つは米ジョージア州の現代自動車・LGエナジーソリューションの工事現場で国土安全保障省が300人あまりの韓国人労働者を逮捕した事件。もう一つは、9月5~6日に京畿道高陽市のキンテックスで開かれたイベント「ビルドアップコリア」だった。前者はMAGA勢力が米国の国内政治で韓国企業と韓国人をどのように利用しようとしているかを示す事件だとすれば、後者はMAGA勢力が韓国を世界的な影響力拡大のための主要拠点にするという意志を確認させる出来事だった。二つの事件は、今後のMAGA勢力の活動範囲や方向性を示しているという点で、政府の緊密な対処とは別に、市民社会の積極的な関心が必要だ。

 MAGA勢力は、ドナルド・トランプ政権1期の頃から米国内の政治活動を越えてグローバルな極右ネットワークを構築しようと活発に動いた。スティーブ・バノンが2018年にベルギーのブリュッセルに本部を置いて活動を始めた「ザ・ムーブメント(The Movement)」が代表的だ。バノンは第1次トランプ政権のMAGA勢力を代表する人物であり、2016年のトランプの大統領選キャンペーンを率いて、ホワイトハウスの初代首席戦略家を務めた。9月6日にキンテックスで開かれた「ビルドアップコリア」で、バノンは映像メッセージを通じて「中国共産党の協力のもと選挙を盗んだ政党は、大韓民国、韓国国民を抑圧しようとするだろう」と述べ、現場に集まった国内の極右勢力を熱狂させた。

 「ザ・ムーブメント」は発足当時、「欧州の右翼勢力を支援し、欧州議会の議席の3分の1を確保させることが目標」と明らかにするほど、攻撃的な方向性を設定した。欧州各国の右翼政党に選挙戦略やメディアキャンペーンなどを支援し、反EU感情を拡散させ、グローバル水準で移民の移動を遮断し、経済的な民族主義を拡散させるということだ。端的に言えば、MAGA路線のグローバル化戦略だ。団体はこの路線のもと、欧州の極右政党・勢力に積極的に接触した。「ザ・ムーブメント」の欧州での影響力拡大戦略は、それ自体では大きな成果を上げたとはみなしがたい。欧州の極右政党の立場としては、米国のMAGA勢力の支援をあからさまに受けるのは、自国内の政治リスクを甘受せねばならない選択だったため、表面的に極右政党はMAGAとは一線を引いた路線を守った。

 しかし、結果的にMAGA勢力がターゲットにした欧州各国の極右政党は今、うなぎのぼりの躍進を見せている。ナイジェル・ファラージが率いる英国の「リフォームUK」は、今月第1週基準で労働党や保守党を圧倒的に抜き、世論調査1位をキープしている。マリーヌ・ルペンが率いるフランスの「国民連合(RN)」も、9月第1週基準で左派連合の「新人民戦線(NFP)」やエマニュエル・マクロンの中道会派の「アンサンブル」を凌駕する支持率1位だ。ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は、「キリスト教民主同盟(CDU/CSU)」と1ポイント差で1位を争っている。ハンガリーの政権与党「ハンガリー市民同盟(Fidesz)」はMAGA勢力のグローバルネットワークの欧州パートナーの役割を自任し、2022年以降は毎年保守政治行動会議(CPAC)を開催している。この会議にはスティーブ・バノンをはじめとする米国のMAGA関係者らが大勢参加し、欧州内の極右の人物、さらに南米の極右の人物らも多数参加する。彼らはMAGAの理念のグローバル化を公に支持し、MAGAの世界連帯を目標に立てている。

 13日には米ワシントンで「トゥルース・フォーラム」が開かれるという。「トゥルース・フォーラム」は韓国内の極右の青年団体で、2025年の大統領選の不正選挙論と「尹アゲイン」の正当性を米国に知らせる計画だという。MAGA勢力の立場としては、韓国はいろいろな面でアジアのMAGAの根拠地とするのに魅力的な条件を持つ。極右プロテスタントという安定した自生基盤があり、自らMAGA路線を受け入れる能動性を備え、ユーチューブを土台に「未来勢力」としての再生産の基盤まで備えている。欧州の極右派のようにプライドを掲げることもない。チョン・ハンギルが「私のバックには米国がいる」と言った言葉は、虚言ではない。MAGA勢力はますます韓国の国内政治に介入しようとするだろう。国内の極右は最小限のプライドや愛国心すらないため、今後の影響力は計り知れない。韓国の市民社会も、今やグローバルMAGAネットワークの忠実な一員になった国内の極右が繰り広げる行動に注目し、深刻さを認識する必要がある。

//ハンギョレ新聞社

ソ・ボクキョン | ザ・可能研究所代表 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1218094.html韓国語原文入力:2025-09-11 09:03
訳C.M

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