「共に民主党」など野党5党は21日、チェ・サンモク大統領権限代行副首相兼企画財政部長官に対する弾劾訴追案を発議した。前日、憲法裁判所がハン・ドクス首相弾劾審判の言い渡し期日を24日に指定した後、「弾劾の実益が消えた」という内外の評価にもかかわらず、公言した通りチェ代行の弾劾に踏み込んだのだ。ただし、ハン首相弾劾審判の結果と国会本会議の日程によっては、実際の弾劾表決までは進まない可能性もある。
共に民主党、祖国革新党、進歩党、基本所得党、社会民主党などの議員188人がこの日発議した「企画財政部長官(チェ・サンモク)」弾劾訴追案によると、チェ権限代行の弾劾事由は、12・3内乱関連行為▽国会で選出したマ・ウンヒョク憲法裁判官候補者の任命拒否▽マ・ヨンジュ最高裁判事の任命拒否▽内乱常設特検任命手続きの不履行の4つ。弾劾訴追案は発議後最初に開かれる国会本会議に報告され、報告後24時間後から72時間以内に本会議で表決しなければならない。
民主党が内外の批判と反発を押し切ってチェ代行の弾劾に踏み切ったのは、尹大統領の弾劾審判が遅延し、極右勢力の動きが激化する状況で、党の対応レベルをさらに引き上げる必要があると判断したためとみられる。民主党のイ・ジェミョン代表はこの日、ソウル光化門(クァンファムン)広場で行われている「尹錫悦即時退陣・社会大改革非常行動」のハンガーストライキの座り込み現場を訪ね、「チェ権限代行は人目もはばからず国法秩序を乱している」とし、「憲法裁の明確な判決さえ露骨に拒否している人自体が国憲紊乱行為だ。どうしても、チェ権限代行本人が今回の内乱行為の主要任務従事者ではないかという疑念を抱かせる」と述べた。
院内指導部のある議員は「『憲政破壊勢力』との勢力争いで押されず、戦線を明確にしなければならない」と語った。また別の院内指導部関係者は「今後重要なのは『憲法守護』の価値を誰が先に占めるか」だとし、「憲法裁の決定に従わないチェ代行を放置しておけば、尹大統領弾劾審判の結果に承服しないだのの争いが生じたとき、民主党が掲げる主張の正当性や名目が行われる」と話した。
ただし、チェ代行弾劾案が実際に表決まで進むかどうかは不透明だ。24日にハン首相弾劾案が棄却された場合、チェ権限代行は企財部長官に戻るため、弾劾案処理の動力を失う可能性がある。また、弾劾案の報告と上程のためには本会議の日程を追加で決めなければならないが、ウ・ウォンシク国会議長がこれに否定的な態度を示しているためだ。民主党はこのため、弾劾案の発議に踏み切ったものの、表決の時期とそれを強行するかどうかはまだ決めていない。指導部関係者は「発議はしたものの、表決処理を進めないこともありうる」とし、「弾劾するとすでに公表していたので、強行するかどうかが世論に及ぼす影響は大きくないだろう」と語った。
しかし、党内部をはじめ政界内外では批判世論が強い。ある再選議員は「院内代表が数回公言したため、撤回できず、発議まで進んだ」とし、「尹大統領罷免言い渡しとは直接関連がなく、大衆もあえて(権限代行の)罷免を強行する理由を理解できないだろう」と語った。キム・ブギョム元首相もフェイスブックへの投稿で、「慎重でない決定」だとし「実益は少なく、国民の不安をさらに高めるだろう」と書いた。
与党「国民の力」は猛攻を浴びせた。同党のクォン・ソンドン院内代表はこの日の記者会見で「チェ代行個人に対する脅迫を越え、国全体を滅ぼすという意図に他ならない」とし、「来週月曜日にはハン・ドクス首相が復帰するのが自明なのに、なんとしても経済副首相を弾劾するというのは、目的を失った感情的報復だ」と述べた。ハン・ドンフン前代表は「脅迫が通じないとなると、国民の暮らしを人質にして大韓民国を縛るイ・ジェミョン代表こそ『最も危険な人物』」だと語った。ホン・ジュンピョ大邱(テグ)市長は「(民主党は)本当に国を滅ぼそうとしている」とし「イ・ジェミョン(代表)も議会テロを利用して内乱を画策している」と述べた。