憲法裁判所が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾宣告の前にハン・ドクス首相の弾劾事件の決定を先に言い渡すと発表し、その背景に関心が集まっている。法曹界では、大統領の空白の長期化で国政が不安定な状況を、尹大統領の宣告前に解消するためという分析が出ている。尹大統領の弾劾判断の言い渡し日は、ハン首相の宣告後の来週後半が有力視されている。
憲法裁は、尹大統領弾劾事件を最優先に審理するとの従来の方針とは裏腹に、ハン首相弾劾事件の結論を先に出すことを決めた。元憲法裁判官は20日、ハンギョレの電話インタビューで「憲法裁はハン首相弾劾事件を棄却して首相を復帰させ、国政を任せれば、尹大統領を罷免した場合でも国政を安定させる効果があるため、先に宣告日程を決めたようだ」と語った。
公正さを考えると、尹大統領の事件より先に弁論が終結した事件の結論を先に出すべきだ、という尹大統領側の問題提起を受け入れたという分析もある。ハン首相弾劾事件は昨年12月27日に請求され、尹大統領より6日前の先月19日に弁論が終わった。ハン首相事件まで先に処理すれば、尹大統領弾劾のために憲法裁が手続きを急いだという尹大統領側と与党の攻撃もかわせる状況になる。
尹大統領弾劾審判が請求されてから96日目の20日にも、憲法裁は評議を続けた。細部争点を巡り裁判官らの意見の相違を調整するのに時間がかかるものとみられる。元憲法研究官の法曹人は「憲法裁は一つの訴追理由を認容したからといって、残りの事由を判断せずに見過ごすわけにはいかない」とし、「結論に影響を及ぼさない微細な争点でも、裁判官が意見をまとめることができなければ宣告が遅れる可能性はある」と語った。
ハン首相事件の言い渡し日が24日に決まったことで、尹大統領事件は来週後半にずれ込む見通しだ。尹大統領事件の決定文の作成は細かく膨大な調整が必要な作業なので、ハン首相の言い渡し日の翌日である25日は現実的に難しい。26日は最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表の公職選挙法違反控訴審宣告日であるうえに、高校3年生の模試の日だ。憲法裁周辺の高校は生徒の安全のため尹大統領弾劾宣告日の臨時休校を決めているため、この日も難しいということになる。27日は毎月最終木曜日に開かれる憲法裁の定期宣告日だ。尹大統領弾劾事件のように重大で関心が集まっている事件を、定期宣告日に他の事件とともに言い渡す可能性は低い。
これまで憲法裁の主要事件は週後半に宣告される傾向があった。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領と朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾事件の判決は、いずれも金曜日に行われており、統合進歩党解散事件の判決も金曜日、堕胎罪の憲法不合致の判決は木曜日だった。これらの事件はいずれも定期宣告日ではない日で、2〜3日前に指定された。警察など周辺機関と警備対策などを平日にあらかじめ協議するためには、週の後半に宣告するのが円滑だというのが憲法裁内外の説明だ。