具体的な合意なく終わった尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と野党第一党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表の29日の会談後、与野党は互いを批判し、会談の後遺症が現れている。尹錫悦政権発足後、初の野党代表との会談で与野党協力の扉が開かれるどころか、強対強の対立へと向かいつつある。
民主党は30日、会談で尹大統領の「コミュニケーション不在」基調が確認されたとして攻勢を強めた。会談に同席したチン・ソンジュン政策委議長はこの日の院内対策会議で、「(尹大統領は)野党が提起した民生回復と国政基調転換の諸議題について、いちいち拒否の意思を表明するだけで、時間を浪費した」とし、「会談前には耳を傾けると言っていたが、実際は本人の主張と言い訳ばかりを長々と並べ立てた。馬耳東風、マイウェイの尹錫悦大統領に対する失望は非常に大きい」と述べた。ミン・ヒョンベ戦略企画委員長はCBSラジオの番組で、「口では野党と協力すると言っているが、私たちの見るところ危機を免れるため、局面突破のためのものから脱していないという感じ」だとし、「じつに腹立たしい」と述べた。民主党のある重鎮議員は、海兵隊C上等兵殉職事件捜査外圧疑惑特検法などに尹大統領がまったく反応しなかったことを批判しつつ、「こうなれば、今後の国会運営も強対強へと向かわざるを得ない」と述べた。
与党「国民の力」は反論した。ユン・ジェオク院内代表はこの日の院内対策会議で、「(尹・イ会談は)与野党が協力の契機を作ったという点で意味がある」とし、野党の尹大統領批判については「(イ代表の)民生回復支援金支給に大統領が同意しなかったことに対する不満を示したものとみられる」と述べた。ユ・サンボム議員はSBSラジオの番組で、イ代表の「15分の冒頭発言」について、「意図的に自身が選挙で大勝した巨大野党の代表だという存在感を示すための政治的アクションを取った」と述べた。キム・ヨンテ次期議員もCBSとのインタビューで、「(イ代表は)事実上、国政を放棄せよと脅迫したように思える。まるでこの会談がうまくいかないことを願っていたのではないかと思えるほど」だと批判した。
それぞれが言いたいことを言うだけで別れた「尹・イ会談」を反映するかのように、国民の力と民主党は30日にも5月の臨時国会の主要法案と処理日程をめぐって衝突した。民主党のホン・イクピョ院内代表は、5月2日に国会本会議を開催し、C上等兵特検法と伝貰(チョンセ:契約時に貸主に高額の保証金を預けることで、月々の家賃は発生しない不動産賃貸方式)詐欺特別法を処理すべきだと主張したが、国民の力のユン・ジェオク院内代表は「政争誘発法案を処理するという本会議は同意できない」と述べた。