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韓国国防相「ほえる犬はかまない」…朝鮮半島での戦争警告に「誇張」

登録:2024-01-18 01:52 修正:2024-01-18 06:43
「全面戦争ではなく局地挑発の可能性」は憂慮
シン・ウォンシク国防部長官が16日午前、京畿道城南市のミリトピアホテルで開催される海兵隊予備役政策説明会に出席するため、車を降りている/聯合ニュース

 シン・ウォンシク国防部長官は、最近の北朝鮮の敵対的な対南発言について、「ほえる犬はかまない」、「国民は北朝鮮の威嚇、恐喝にあまり振り回されないように」と述べた。

 シン長官は16日夜の韓国放送(KBS)ラジオとの電話インタビューで、「朝鮮半島で戦争が起こり得る」とする米国の一部の専門家の主張について、「行き過ぎた誇張」だとし、「むしろ北朝鮮の心理戦に飲み込まれ、偽の平和、北朝鮮の立場の擁護、北朝鮮への大盤振る舞いなど、数十年間にわたり北朝鮮に対して犯してきた失敗を繰り返す恐れがあるため、冷静に考えなければならない」と述べた。

 北朝鮮問題の権威である米国ミドルベリー国際問題研究所のロバート・カーリン研究員とジークフリード・ヘッカー教授は11日、北朝鮮専門メディア「38ノース」への寄稿で「朝鮮半島の状況は1950年6月初め以来、最も危険だ」と述べている。

 シン長官は、北朝鮮が実際に戦争を準備しているのなら、戦争に絶対に必要になる数百万発の砲弾などをウクライナと戦争中のロシアに輸出するだろうかと問うた。北朝鮮が新型の近距離弾道ミサイル(CRBM)である「近距離型戦術誘導弾」を北朝鮮の前方部隊に配備する前に、ロシアに輸出する可能性もあると述べつつ、「(戦争を準備しているのなら)最も性能の良いミサイルを、生産後に直ちに全量輸出できるのか」と指摘した。

金正恩朝鮮労働党総書記兼国務委員長が15日、平壌の万寿台議事堂で行われた最高人民会議で施政演説を終え、党幹部たちと握手している。最高人民会議常任委員会のチェ・リョンヘ委員長が腰を折って金総書記と握手している/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 シン長官は、70年あまり前の朝鮮戦争とは異なり、「今は強力な韓米同盟がある」、「当時、北朝鮮の通常兵器の能力と戦争持続能力は大韓民国を圧倒したが、今は大韓民国の方がはるかに優位に立っている」と述べた。そして「北朝鮮は(70年前と異なる点は)唯一、核を開発したということだが、それより強い米国の核の能力を韓米が共にする拡大抑止として持っている」とし、「国民は北朝鮮の威嚇、恐喝にあまり振り回されないように」と主張した。

 シン長官は「北朝鮮の恐喝や威嚇に対しては、最悪の状況を想定して徹底的に備えている」とし、「北朝鮮が誤った決定を下せば、北朝鮮指導部は最短時間内に終末を告げることになるだろう」と語った。

 しかし、ロバート・カーリン研究員とジークフリード・ヘッカー教授は寄稿で、「韓米は鉄のような抑止力を強調するなど、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が現状を破壊できないように試みつつ、北朝鮮政権の完全な破壊を公言するが、そのような考えは致命的であり得る」とし、戦争が勃発すれば、「韓米が勝利したとしても結果は無意味なものとなるだろう」とし、「無残な廃墟(はいきょ)が見渡す限り広がっているだろう」と警告した。

16日、京畿道坡州市の自由路から望む北朝鮮軍の警戒所。北朝鮮の兵士が警戒任務についている/聯合ニュース

 シン長官は「最近の北朝鮮の状況を見ると、全面戦争ではなくても、局地的挑発を試みる可能性は非常に高い。韓国に対しては直接の軍事挑発をおこなったり大規模ハッキング、サイバー心理戦、グレーゾーンの挑発をおこなったりするだろう」と予測した。そして、北朝鮮は今年11月の米大統領選挙を狙って「大陸間弾道ミサイルの高角発射や実距離発射、7回目の核実験などの高強度の戦略挑発によって、米国の対北朝鮮政策を自分たちに有利なように転換させようとするだろう」との見通しを示した。

 シン長官は、北朝鮮が14日に発射した固体燃料推進システムを用いた極超音速中距離弾道ミサイルについては、円錐形で固体燃料を用いるなど、一部の技術が以前の液体推進極超音速ミサイルより進んでいると評価した。北朝鮮は発射実験をさらに実施するだろうが、戦力化には相当な時間が必要だろう、との見通しも示した。

 シン長官は、北朝鮮が2018年の9・19南北軍事合意に則って最前方の監視警戒所(GP)は破壊・撤収した一方、地下施設は破壊していないにもかかわらず、北朝鮮の主張だけを信じてそれをきちんと検証していなかったという疑惑について、「時間をかければ真実が明らかになるだろう」とし、「真実の扉が開かれる時期は遠くない」と述べた。そして「今の北朝鮮のGP復元の動向と速度を見ると、地下施設はそのまま存続させていた可能性が非常に高い。当時の検証結果、文書など、現在でも確認できるものはほとんどあると認識している」と述べた。

 GP検証問題について、9・19軍事合意時に国防部対北朝鮮政策官だった共に民主党のキム・ドギュン国防報道担当(予備役陸軍中将)は、「事実関係を歪曲するもの」と反論している。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1124713.html韓国語原文入力:2024-01-16 20:02
訳D.K

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