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3月、朝鮮半島に「危機の春」が来る

登録:2024-01-18 01:51 修正:2024-01-18 06:32
3月の韓米合同演習、4月の総選挙… 
誤認や誤った判断による境界地域での偶発的衝突の恐れ
陸軍第3工兵旅団と米第2師団・韓米連合師団指揮下の工兵大隊が昨年3月に京畿道漣川郡の訓練場で実施した合同渡河訓練で、装備、車両が浮橋を用いて川を渡っている=陸軍提供//ハンギョレ新聞社

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長は、昨年末に労働党中央委第8期第9回全員会議(12月26~30日)で「有事の際の南朝鮮の全領土の平定に向けた大事変の準備」に言及したのに続き、15日の最高人民会議では「大韓民国を共和国の領域に編入する問題を(憲法に)反映することも重要だ」と述べるなど、韓国に対する敵対的発言の水位を高めている。軍事的緩衝材の役割を果たしてきた9・19南北軍事合意すらも消え去った状況にあって、韓国も「金正恩政権の終末」のような発言で対抗していることで、境界地域での武力衝突の危険性はいっそう高まりつつある。韓米合同演習に、4月には総選挙まで行われる今春、朝鮮半島の危機はいつもの春より高まるとの観測が示されている。

 3月の中旬から下旬にかけて約半月にわたって予定されている上半期の韓米連合演習「フリーダムシールド(自由の盾)」がピークと目される。コンピュータシミュレーション訓練が中心だったこの演習には、昨年から大規模な兵力や装備が動く野外実機動訓練が追加された。米国の原子力空母や戦略爆撃機なども朝鮮半島にやって来るはずだ。

 北朝鮮はこれまでの韓米合同演習を「北侵戦争演習」と激しく非難してきており、対抗演習、ミサイル発射で対応してきた。北朝鮮軍は12月から翌年3月まで冬季訓練を行うが、9・19軍事合意が消えた今年は軍事境界線(休戦ライン)一帯で砲射撃訓練、連隊級戦術訓練などを実施する可能性がある。南北の軍事当局をつなぐ意思疎通チャンネルがすべて途絶えた中では、誤認や誤った判断による武力衝突が起きる可能性がある。

 休戦ライン付近での一部の民間団体による北朝鮮に対するビラ散布も変数だ。冬は偏西風が強いため北朝鮮に向けてビラを飛ばすのは難しいが、3月に風の方向が変わればビラ散布が始まる。北朝鮮軍が休戦ラインを越えて飛んでくる対北朝鮮ビラのくくりつけられた大型風船に向かって対空射撃を実施すれば、銃弾が休戦ラインの南に落ち、交戦が発生する恐れがある。

 氷が溶けた3月末からは、西海(ソヘ)上の北方限界線一帯において北朝鮮海軍による機動訓練、砲射撃訓練が本格化するだろう。西海の延坪島(ヨンピョンド)付近のワタリガニの漁場は5、6月に操業が活発になるが、ワタリガニが南北の漁船を呼び寄せ、漁船は南北の海軍を呼び寄せる。二度の延坪海戦(1999年、2002年)はいずれも6月に起きている。

 今年は北方限界線の近辺での衝突の可能性がいっそう高まっている。金正恩総書記は15日の最高人民会議での施政演説で、「不法無法の『北方限界線』をはじめとするいかなる境界線も許されず、大韓民国が我々の領土、領空、領海を0.001ミリでも侵犯するなら、それはすなわち戦争挑発とみなされるだろう」と述べている。これに対し国防部のチョン・ハギュ報道官は「NLL(北方限界線)は韓国の将兵が数多くの犠牲を払って死守してきた実質的な海上の境界線であり、いかなる場合であってもこのNLLを守り、守護するということは、韓国軍の確固たる立場」だと表明している。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1124722.html韓国語原文入力:2024-01-17 05:00
訳D.K

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