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米専門家「金正恩委員長、戦争決めたようだ…朝鮮戦争直前以来最も危険」

登録:2024-01-15 06:07 修正:2024-01-16 09:39
「韓米、勝利しても意味ない」
北朝鮮の金正恩国務委員長が今月初め、軍需工場を視察している/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮が南北関係に対して荒々しい言葉を次々と並べている中、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が戦争を決心したものとみられると、米国の専門家が主張した。

 北朝鮮問題の権威であるミドルベリー国際問題研究所のロバート・カーリン研究員とジークフリード・ヘッカー博士は11日、北朝鮮専門メディア「38ノース」への共同寄稿で、「朝鮮半島の状況は1950年6月初め以来、最も危険だ」とし、現在は朝鮮戦争直前の状況に近いと述べた。

 カーリン研究員とヘッカー博士は「あまりにも衝撃的に聞こえるかもしれない」としつつも、「私たちは、彼の祖父が1950年にそうしたように、金正恩が戦争をするという戦略的決断を下したとみている」と明らかにした。さらに「金正恩がいつ、どのように引き金を引くかは分からない」としながらも、戦争の危険性は、米国と韓国などが日常的に行ってきた警告をはるかに越えるレベルだと診断した。

 彼らは、北朝鮮政権がこの30年間追求してきた米国との関係正常化に対する期待を捨て、昨年初めから武力使用について直接言及し始めたことを、このような判断の根拠としてあげた。

 北朝鮮は金日成(キム・イルソン)主席以来、3代にわたり最高指導者が中国とロシアに対する緩衝手段として米国との関係正常化を進め、1994年にジュネーブ合意を成功させ、合意破棄後もその目標を捨てていなかったが、2018年と2019年に当時のドナルド・トランプ大統領と金委員長の首脳会談が物別れに終わった後、これまでの路線を捨てたということだ。また、金委員長は、祖父と父親が果たせなかった目標を、威信をかけて推進し、史上初の朝米首脳会談にまで漕ぎつけたが、米国に大きく無視されたと指摘した。

 彼らは、朝米関係正常化に向けた努力が失敗に終わった責任が誰にあるのかではなく、「北朝鮮がそのような目標を完全に放棄したことで、朝鮮半島をめぐる戦略的状況がどれほど大きく変わったのか」が極めて重要だと述べた。

 さらに、北朝鮮が中国とロシア側へと「戦略的な方向転換」を決めたことには、米国が国際舞台で衰退しているという判断も作用していると分析した。中国との関係改善には大きな進展は見られないが、ロシアとは昨年の朝ロ首脳会談を機に進められた軍事分野の協力などが成果として現れていると判断した。このようなことから、北朝鮮は世界情勢が自分たちに有利に進んでいると判断し、「韓国問題に対する軍事的解決策」へと傾くようになった、というのが彼らの説明だ。

 2人の専門家は、このような状況の中で北朝鮮の高官たちが2023年初めから戦争準備について発言するようになったと指摘した。金委員長が昨年8月に「祖国統一を成し遂げるための革命戦争準備」を語り、先月には南北関係を「敵対的な二国間関係」と表現したのがその例だ。彼らは、北朝鮮メディアに登場する「戦争準備」というテーマは、従来の虚勢とは思えないと述べた。

 彼らは、北朝鮮政権が戦争を開始すれば、韓国と米国が自分たちを完全に破壊できるのに、果たして危険を冒すだろうかという反論もあり得るとした。だが、北朝鮮政権は他の選択肢がもう使えないと判断しているとみられるとし、「歴史は、他に良い選択肢がないと確信した人々が、最も危険なゲームを試みる考えを抱く場合もあることを示している」と述べた。

 また、韓米は「徹底した抑止力」を強調するなど、金委員長が現状を破壊できないようにしながら北朝鮮政権の完全な破壊を公言しているが、そのような考えは致命的な結果をもたらしうると述べた。彼らは、北朝鮮は韓国全域と事実上日本とグアムの両方を打撃しうる核弾頭50~60発を保有しているとし、戦争が勃発すれば「韓米が勝利しても、その結果は意味のないものであろう」とし、「荒廃した焼け野原が見渡す限り広がるだろう」と警告した。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1124250.html韓国語原文入力:2024-01-14 20:02
訳H.J

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