韓国政府が国連に「日本政府は強制動員の被害者に公式謝罪した」との趣旨の意見書を送ったことが物議を醸し、韓国政府は修正意見を提出したが、問題の表現はそのままになってることが確認された。以前の内容に、国内の一部の被害者が日本の政府と企業の公式謝罪を要求している、との内容が追加されただけだった。
12日に国連文書システムを確認すると、韓国の歴史問題を調査した国連真実・正義・賠償・再発防止の促進に関する特別報告者のファビアン・サルビオリ氏が国連人権理事会に発表した報告書と関連して、韓国政府は先月14日、意見書の修正本を提出した。政府はこの意見書で、強制動員に対する日本政府の「公式謝罪」という項目に「一部の被害者と遺族は日本の政府と企業の公式謝罪と賠償を要求し続けている」という一文を追加した。しかし、この文の直前には、日本の岸田文雄首相が5月の韓日首脳会談後の共同記者会見で、「個人の意見」であることを前提としておこなった「厳しい環境の下で多数の方々が大変苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛む思いだ」との発言が依然として記述されている。
野党と市民団体は、岸田首相の個人的な遺憾表明を「公式謝罪」としたことについて「政府は日本政府を代弁した」と批判してきた。政府の意見書には「日本政府は『慰安婦』被害者と『強制動員』被害者に公式謝罪を行い、加害事実を認めた」とか、「現在進行中の歴史問題は、政府がほぼ解決するか、解決しつつある」という内容も含まれている。波紋が広がったことから外交部も、当時の実務者に不注意があったとし、問題になった内容を検討し、意見書を再提出すると表明していた。
外交部の関係者はこの日、記者団に対し、意見書の修正本について、「(岸田首相の発言を)日本の公式謝罪として認めるという意味ではなく、このかん日本が表明してきた立場を記述しただけ」だとし、「強制徴用の被害者と遺族が日本政府と企業に公式謝罪と賠償を要求しているという客観的な内容を、新たな一文として追加することになったもの」だと説明した。
外交部のイム・スソク報道官はこの日の定例ブリーフィングで、「韓国政府は、日本政府が植民地支配全体に対する謝罪を表明した金大中(キム・デジュン)-小渕宣言の精神を一貫して忠実に継承し、未来志向的な両国関係を築いていけるよう努力していく所存だ」と付け加えた。
しかし、政府報告書を批判してきた国連人権理事会の韓国NGO代表団のイ・ナヨン正義記憶連帯理事長は、「岸田首相が公式謝罪したことはないというのが(市民社会団体の)批判の趣旨だったが、問題提起した内容は変わっていない。依然として韓国政府は日本政府を代弁しているようだ」と語った。