強制動員の被害者に対する日本の戦犯企業の賠償責任を認めた韓国最高裁(大法院)判決が出てから5年の月日が流れたが、賠償のために必要な「現金化命令」を先延ばしにしていることについて、最高裁は職務怠慢だとの批判の声があがっている。
韓日歴史正義平和行動は30日午前、ソウル瑞草区(ソチョグ)の最高裁前で記者会見を行い、「日本の政府と企業に時間稼ぎをさせている最高裁の職務怠慢を糾弾し、日本企業(の資産)に対する現金化命令(売却)判決を求める」と述べた。そして「歴史は被害者の人権回復を無視する最高裁の職務怠慢を『第2の司法壟断』と記録するだろう」と主張した。
最高裁は強制動員の被害者に対する日本製鉄の損害賠償責任を2018年10月30日に、三菱重工の責任を11月29日にそれぞれ認め、日本製鉄には原告1人当たり1億ウォン、三菱重工には同8000万ウォンの賠償を命じる判決を下したにもかかわらず、強制執行に向けたその後の決定を先送りしていることを指摘したもの。
最高裁判決後も日本企業が賠償金を支払っていないことから、被害者はこれらの企業の資産の売却を通じた現金化を裁判所に求め、裁判所はこれを認めた。日本企業が不服を申し立てた(抗告・再抗告)ため、現在事件は最高裁で塩漬けになっている。
韓日歴史正義平和行動のパク・ソグン代表は「法的な争点があるわけでもなく、単に手続き的過程に過ぎないのに、(事件が最高裁に来て)1年半が過ぎたにもかかわらず決定を先送りしている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の顔色をうかがっているのではないか」と指摘した。
3月に政府が発表した、日本企業の賠償責任を第三者である「日帝強制動員被害者支援財団(財団)」が肩代わりする「第三者弁済案」を考慮し、最高裁がなすべきことを先送りしているという指摘だ。
最高裁で判決が確定した15人のうち11人は第三者弁済案を受け入れたが、4人は拒否している。4人について財団は、裁判所に被害者が受け取るべき判決金(賠償金など)を供託しようとした。供託すれば債務者の債務は免除される。これは、日本の戦犯企業の「賠償義務」と強制動員被害者の「加害企業から賠償金を受け取る権利」が消えることを意味する。しかし裁判所は供託を「被害者の意思に反する」として受理しなかった。
強制動員被害者の訴訟代理人を務めるイム・ジェソン弁護士は、「最高裁が政治的に敏感な事案だとして判断しないのは、憲法の保障する迅速な裁判を受ける権利を侵害するもの」だと批判した。