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[現場]「トコジラミ、一度血を吸えば6カ月生存」…防除2~3度必要

登録:2023-11-11 09:01 修正:2023-11-12 22:56
トコジラミ防除作業の現場を訪ねると
トコジラミ防除のために蒸気を壁の隙間に噴射している=ジャバドリーム提供//ハンギョレ新聞社

 「布団と壁にトコジラミが見えはじめてから1週間たちました。3日前には足の指をかまれました。これまでに捕ったものだけでも3匹になります」

 10日午前、仁川市(インチョンシ)のあるマンションで、Aさんは家のあちこちを指差しながらこのように話した。このマンションは近隣の工場の外国人と韓国人の社員が4つの部屋を寮として分け合って使用しており、部屋には厚い冬用の布団とスーツケースに入った荷物があちこちに散らばっていた。Aさんは「3カ月前にトコジラミが出没して一度防疫したのだが、1週間前から2部屋でトコジラミが再び出現した」とし、「マンション全体を防除作業してくれと要請した」と話した。

防除作業中に発見されたトコジラミ=ジャバドリーム提供//ハンギョレ新聞社

 この日、防除の依頼を受けた害虫防除業者「ジャバドリーム」のイ・ヨンウさん(34)は、灰色の作業服にラテックス手袋と上履き姿で、Aさんが話した部屋のあちこちを注意深くのぞき込んだ。2~3坪の広さのある2部屋の状態を確認したイさんは、「普通、トコジラミがまん延している場所には、壁紙と布団のあちこちに赤黒いトコジラミの排せつ物がついているが、今のところそのような跡は見えない」としつつも、「スチーム機を用いて高温の蒸気を噴き付ければ、隠れていたトコジラミたちが刺激されて出てくる可能性もある」と話した。

 しかしこの日、トコジラミは見つからなかった。トコジラミは隙間に隠れる特性があるからだ。イさんは「トコジラミはコンセントの中にも生息するほど隙間をうまく探して隠れている。一度血を吸うと何も食べずに最長6カ月生きる。3カ月前と1週間前の2回トコジラミが発見されているだけに、まだ隠れている可能性が高い。トコジラミが発見された場所は2~3回防除作業をした方がよい」と話した。この日も実際に、扇風機本体の接地部分の隙間からはトコジラミの死骸が発見された。

10日午前、仁川のあるマンションのトコジラミ防除現場で発見されたトコジラミの死骸=コ・ビョンチャン記者//ハンギョレ新聞社

 この日訪ねた工場の寮のように、トコジラミが出没しているという通報は全国から寄せられている。防除作業には3部屋ある100平米のマンションだと30万~40万ウォン(約3万4400~4万5900円)ほどかかるが、防除業者などには問い合わせが絶えない。

 ジャバドリームのユ・ビョンチャン代表は「最近は一日に3~4件ほどトコジラミ防除作業の問い合わせが来ているが、このうち実際にトコジラミが出没していて作業が必要なケースは半分ほど。今年だけでトコジラミに関する問い合わせ件数は500件に達する」と語った。韓国防疫協会ソウル市支会の関係者は「防除作業をおこなっても予防にはならないと言っても、恐怖心のせいであらかじめ防疫してほしいという問い合わせが絶えない」と話した。

今月9日、ソウル龍山区東子洞の住宅で、トコジラミ防疫作業が行われている=ペ・ヒョンジョン記者//ハンギョレ新聞社

 苦情が絶えないため、自治体は住居脆弱地域を中心として先制的な防除作業に乗り出している。ソウル市のトコジラミ発生通報センターとして運営されている「120茶山コール財団」には、先月13日から今月6日までにトコジラミ関連の苦情が232件寄せられた。先月は一日平均2.7件にとどまっていた苦情は、今月に入って一日平均30件へと10倍ほどに急増している。120茶山コール財団の関係者は「7日からの3日間だけでトコジラミ関連の苦情がさらに252件寄せられた」と話した。

 専門家は、家庭では寝具類などを高温で洗濯することでトコジラミの発生が防げると話す。イさんは「トコジラミが生じやすい服、カーテン、ベッドカバー、毛布などを洗濯した後で、50度以上の乾燥機で30分以上処理するとよい」と語った。トコジラミが生息しやすい家具の隙間と壁の隙間に高温の蒸気を噴射するのも方法のひとつだ。

コ・ビョンチャン、キム・ヨンウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1115821.html韓国語原文入力:2023-11-10 16:45
訳D.K

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