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「1、2匹がすぐに拡散」…ソウル市の低所得層住宅1244世帯、トコジラミ撲滅作戦

登録:2023-11-10 07:37 修正:2023-11-10 08:28
ソウル龍山区東子洞のチョッパン(一つの部屋を細かく分けた住宅)街でトコジラミの駆除作業が行われている=ペ・ヒョンジョン記者//ハンギョレ新聞社

 「冷蔵庫のそばにトコジラミがいますか?そこに撒いてください」

 9日午前、ソウル龍山区東子洞(ヨンサング・トンジャドン)のチョッパン(一つの部屋を細かく分けた住宅。多くは低所得層が住む)街。Kさん(82)は、家に来たトコジラミ駆除業者に駆除作業を依頼した。駆除業者が家の中の各所を点検し、165度のスチームで駆除作業を行った。さらに、駆除業者は隣家に移動して消毒を続けた。Kさんが住む住居は、3.3平方メートル(1坪)ほどの部屋が80センチメートル間隔で並んでいる長屋だ。駆除業者の関係者は「ここで(トコジラミを)1匹見つけた。(隠れたトコジラミが)もっといると考えたほうがいい」と述べた。

 全国的にトコジラミ拡散への懸念が強まると、ソウル市はこの日、このような住宅街の64の建物1244世帯を対象に事前防止対策を実施した。ソウル駅チョッパン相談所のユ・ホヨン所長は「1、2匹でも発見された場合、64の建物すべてに広がってしまうので、防止対策を行うことになった」とし、「トコジラミが出るという話が広がっているため、住民たちが不安に震えている」と述べた。

 ソウル市庁ではこの日午後、「ソウル市トコジラミ対策専門家懇談会」が開かれた。ソウル市のオ・セフン市長や嘉泉大学のチョン・ジェフン予防医学科教授らによる専門家らが集まり、トコジラミの発生原因と防止対策を議論した。この日の懇談会に参加したソウル交通公社のペク・ホ社長は「最近、地下鉄内でトコジラミがいたという通報が8件ほどあったが、トコジラミに似た形態の虫であることが確認された」と述べた。ソウル交通公社が2日から8日までの1週間、ソウル地下鉄の6つの路線にある地下鉄75車両に対して現地作業を行った結果、トコジラミとトコジラミの巣は発見されなかったことを明らかにした。

 ソウル交通公社は、トコジラミが生息する可能性がある地下鉄の布製の椅子に対して消毒を強化することを明らかにした。ソウル地下鉄のすべての客室の椅子のうち、布製の椅子は58%を占める。地下鉄の椅子の汚染物質を除去して殺虫剤消毒を実施するなど、洗浄・散布を最大で月4回実施するというのが交通公社の計画だ。

 オ・セフン市長はこの日、防止対策の方向について、「最近、トコジラミの出没が続き、市民の不安が高まった。トコジラミは病気をうつす害虫ではないが、一度広がると手のほどこしようがないので、ソウル市の全部署に先制対応を指示した」と述べた。あわせて、「トコジラミゼロ都市ソウルを作るために『トコジラミゼロ・ソウル対策本部」を設けた」とし、「これまで、地下鉄やバスなどでトコジラミが出没したという通報は1件もないが、市民の不安を解消してトコジラミを退治するため、最善を尽くす」と強調した。

 これに先立ち、ソウル市は8日から、トコジラミの通報と予防を支援する「ソウル市トコジラミ発生申告センター」を運営している。ソウルにあるホテル、宿泊施設、公衆浴場などの大衆利用施設3175カ所に対して特別点検を行っている。また、民間協会による自主予防管理の支援(トコジラミゼロステッカーの貼り付け)などを主な骨子とする「トコジラミゼロ都市プロジェクト」を3日に発表している。

ペ・ヒョンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1115705.html韓国語原文入力:2023-11-10 02:41
訳M.S

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