韓日関係の最大の争点だった強制動員被害者賠償問題と関連し、日本の被告企業の基金参加など後続措置が行われていないことが、駐日韓国大使館に対する国政監査で議論の的になっている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が一方的な譲歩案を進めているが、日本側が「誠意ある呼応」を示す措置を取っていないという声が与野党からあがった。
国会外交統一委員会所属のユン・ホジュン議員(共に民主党)は16日、東京の駐日韓国大使館で開かれた国政監査で、「強制動員被害者4人は(日本の被告企業の賠償金を韓国の日帝強制動員被害者支援財団が肩代わりする)尹政権の案を今も受け入れていない。韓国政府が大きく譲歩したのに、岸田文雄首相は果たして何を決断したのか」と指摘した。ユン議員は「政府の言う『コップの残りの半分』はまだ満たされていない」と強調した。
同党のパク・ホングン議員も「先日の韓日相互認識調査で、尹政権の韓日関係改善に向けた取り組みは、韓国より日本の方でより支持されていることが分かった」とし、「強制動員問題と汚染水の海洋放出などに対して政府と国民の間に認識の隔たりが大きい」と述べた。さらに「強制動員被告企業である三菱重工業と日本製鉄は、今後謝罪し、基金に参加する可能性があるのか」と追及した。また、韓国が韓日関係改善のために「コップの半分を水を入れ、さらに足しているのに、日本はその水をすぐに飲み干して、歴史歪曲と汚染水で満たしているというのが多数の国民の認識」だと主張した。
与党の「国民の力」からも、日本側の反応が不十分だという指摘が出た。同党のユン・サンヒョン議員は「支援財団にはポスコが40億(約4億4200万円)、個人などが1億(約1100万円)を出した。(韓国の全国経済人連合会と日本の経団連が作った)韓日未来パートナーシップ基金には、両団体がそれぞれ10億ウォン(1億円)拠出している」と述べた。ユン議員は「パク・チン外交部長官は(今年3月)『我々がコップの半分を満たしたため、残りは日本が満たすべき』と発言したが、まだ不十分なのは事実だ」とし、「日本企業が基金にお金を拠出するよう、環境を作らなければならない」と強調した。
このような指摘に対し、ユン・ドクミン大使は「岸田首相はいろいろな国内状況の中で、本人にできる最大限の誠意と真摯さを見せている」と評価した。ユン大使は、今年5月に韓国を訪問した岸田首相が記者会見で歴史問題と関連し「私自身、当時の厳しい環境のもとで、多数の方々が大変苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛む思いだ」と述べたことと、広島の韓国人原爆犠牲者慰霊碑に参拝したことを例に挙げた。
ユン大使は韓日未来パートナーシップ基金については「日本企業や経団連と接触しているが、日本側では関連企業が参加するのに時間が必要だという雰囲気」だとし、「全経連に新しい指導部が発足して経団連と協議をしており、良い結果が出るのではないかと思う」と述べた。