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韓国最大野党代表「運命の1週間」…尹大統領、逮捕同意案を「速戦即決」で裁可

登録:2023-09-20 08:48 修正:2023-09-20 09:40
最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表が先月28日午後、江原道原州のオークバレーで開かれた議員ワークショップに参加している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が19日、最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表の逮捕同意要求書(逮捕同意案)を裁可したことにより、国会は21日の本会議でイ代表の逮捕同意案の表決を行う。病院でもハンガーストライキを続けているイ代表が表決の方向性に対して沈黙を守っているなか、党内の「可決派」と「否決派」がそれぞれ水面下で議員と接触し、激しい駆け引きを行っている。

 大統領室のイ・ドウン報道官はこの日、「尹大統領がイ代表の逮捕同意案を裁可した」と明らかにした。これに先立ち、検察は18日、大庄洞(テジャンドン)開発をめぐる疑惑や、サンバンウルグループの北朝鮮送金疑惑などについて、背任・収賄などの容疑でイ代表の拘束令状を請求した。他の問題がないかぎり、国会は20日に予定の本会議でイ代表の逮捕同意案を報告し、21日の本会議で表決に進むものとみられる。

 検察がハンストによる健康悪化で病院に搬送されたイ代表の拘束令状を請求したのに続き、国連総会への出席のため米国ニューヨークを訪問中の尹大統領が、現地で「速戦即決」で逮捕同意案の裁可処理を行うと、野党は強く反発した。共に民主党のカン・ソンウ報道担当は「尹大統領の逮捕同意案の裁可は、政敵の失脚文書にサインしたもの。野党代表に『どうか死んでくれ』と述べた宣言にほかならない」と批判した。

 表決の方向性が定まらずに「2回目の逮捕同意案政局」に直面した野党は、党内対立が避けられないものとみられる。この日、院内指導部は「多くの(党内)グループの運営スタッフや代表に会う予定で、様々な方向から今日と明日に意見の取りまとめを行う予定」(キム・ハンギュ院内報道担当)だと明らかにしたが、一日二日の議論では可決派と否決派の溝を狭めることは難しいとみられる。党内では「不逮捕特権の放棄を約束したイ代表が逮捕同意案の可決を求めるべき」という声が強かったが、イ代表が入院したため、直接行動に出る可能性は事実上なくなったという雰囲気だ。

 結局のところ、党が判断の負担をそのまま抱え込んでいる状況にあり、イ・ジェミョン支持派の最高委員をはじめとする主流派は「否決」で党の方針を採択しようとしている。これに先立ち、前日の最高委員会議でも多くの最高委員が「上層部が全員一致で否決とする党の方針を出し、議員総会で追認することにしよう」と主張したが、一部で反対意見があり、結論を出せなかったという。

 一方、イ代表の沈黙のなかで党内で否決の声が高まると、非主流派は水面下で「可決票の結集」に乗りだしている。共に民主党のあるイ・ジェミョン非支持派の議員は、「党の方針レベルで否決を約束した2月の1回目の逮捕同意案の表決の際にも、共に民主党からは18人が(同意案に)賛成、20人が無効・棄権するなど、38人が離脱したと推定されている。今回確認した結果、無効・棄権だった人たちも賛成に転じている」として、「議員たちはそれぞれ悩んでいるが、『防弾政党』という汚名をこれ以上続けるわけにはいかないという人も多い」と述べた。この日も、「同意案に反対してほしい」という電話やショートメッセージに反応した議員と答えなかった議員のリストを作成して共有するなど攻撃的な力を誇示する岩盤支持層や、総選挙を前に「公認候補」を気にして、逮捕同意案の可決に傾いていても「沈黙する多数」がいるということだ。

 イ代表と拘束中のユン・グァンソク議員(無所属)が出席できないため、本会議の可決の定足数は149票になる。与党票と正義党・無所属議員などが持っている票を総動員すれば122票になり、これに共に民主党から29人が追加で賛成すれば逮捕同意案は可決される。ただし、「党の方針として逮捕同意案に賛成」を主張してきた正義党内部に一部離脱の動きがあり、与党でも野党を苦境に落とすための「逆選択」を取る可能性もある。

オム・ジウォン記者、カン・ジェグ記者、イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/1109244.html韓国語原文入力:2023-09-20 02:42
訳M.S

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