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北朝鮮の訪ロ団に多数の軍需産業責任者…「危険な取引」迫る

登録:2023-09-13 06:26 修正:2023-09-16 06:47
北朝鮮の金正恩国務委員長が12日、朝ロの国境都市であるロシアのハサンで、ロシアのアレクサンドル・コズロフ天然資源・環境相と面会している。金委員長は同日、専用列車でハサン駅に到着した。ロシア天然資源・環境省提供=ハサン/AFP・聯合ニュース

 北朝鮮とロシアの首脳会談を前に取りざたされていた両国間の武器取引の可能性は、12日、北朝鮮の訪ロ団に軍部の実力者と軍需産業責任者が多数含まれたことが確認され、現実味を帯びてきた。さらにロシアは、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の首脳会談で国連制裁問題について話し合う考えを明らかにし、国際社会の制裁にもかかわらず、北朝鮮と武器取引を強行する意向を示した。国連安保理常任理事国であるロシアが、国連安保理の対北朝鮮制裁体制の無力化をさらに進めるのではないかと懸念の声があがっている。

 今回の朝ロ首脳会談で、ロシアはウクライナ戦争に使う砲弾などの通常兵器を北朝鮮から供与してもらい、その見返りに衛星や原子力潜水艦などの先端軍事技術を北朝鮮に提供するものとみられる。

 プーチン大統領がボストーチヌイ宇宙基地を訪問する計画があると発表したことで、同基地で朝ロ首脳会談が行われると予想されている。この場合、朝鮮半島における米国の戦略資産の展開に対抗し、軍事偵察衛星の打ち上げを試みている北朝鮮にロシアが関連技術を移転するという意思を誇示するための行動として解釈される。ボストーチヌイ宇宙基地は朝ロ間の先端兵器技術協力を象徴する場所であるわけだ。

 共同通信がロシアの消息筋の話として報道したところによると、両首脳がボストーチヌイ宇宙基地で会談した後、近くのハバロフスク州軍需産業都市コムソモリスク・ナ・アムーレにあるスホーイ戦闘機生産工場も訪問する計画だという。コムソモスク・ナ・アムーレは製鋼、精油、造船などが発達したところで、潜水艦を作る造船所もある。この都市を訪問するのは両国の軍事協力に焦点を合わせた金委員長の訪ロ目的とも合致する。

 同日の写真で公開された北朝鮮の訪ロ団の面々を見ると、砲弾と先端軍事技術を交換する形の朝ロ兵器取引の意図がうかがえる。北朝鮮のパク・テソン労働党書記は、北朝鮮が軍事偵察衛星を打ち上げるために設置した国家非常設宇宙科学技術委員会委員長を務めている。キム・ミョンシク海軍司令官は、北朝鮮がロシアからの技術提供を望んでいる原子力潜水艦関連業務を担当している。チョ・チュンリョン労働党軍需工業部長は、北朝鮮がロシアに供与できる砲弾生産の責任者だ。

 こうした中、ロシアは「我々にとって重要なのは米国の警告ではなく、両国の利益だ」と強調し、北朝鮮と兵器取引を進める姿勢を明らかにした。ロイター通信などの報道によると、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は同日、「必要ならば我々は北朝鮮同志たちと対北朝鮮国連制裁に関して議論する準備ができている」と述べた。

 2016年1月の北朝鮮の4回目の核実験後、2016年3月に国連安保理が全会一致で採択した安保理決議第2270号は、北朝鮮とのすべての武器取引を禁止している。安保理は宇宙飛翔体を含め、弾道ミサイル発射と関連したいかなる形の対北朝鮮技術協力も禁止している。米国務省のマシュー・ミラー報道官は11日(現地時間)にも、「北朝鮮とのいかなる武器取引も国連安保理制裁違反であり、必要ならば追加の制裁を加える」という方針を改めて示した。しかし、ロシア大統領府報道官の発言は、このような対北朝鮮制裁を無視するか、今後の対北朝鮮制裁を緩和すべきと主張するものとみられる。ロシアは2016~2017年の核実験など北朝鮮の武力示威に対応し、安保理の対北朝鮮制裁決議の採択に中国とともに賛成したが、その後は制裁の緩和を主張してきた。

 韓国外交部のイム・スソク報道官は同日の定例会見で、「ロシアと北朝鮮は国連安保理決議と各種の国際制裁が課している武器取引と軍事協力禁止義務を再確認しなければならない」とし、「いかなる国連加盟国も違法な兵器取引を含む安保理対北朝鮮制裁決議に違反してはならない。特に、国際社会の平和と安定を害する北朝鮮との軍事協力はなおさら行われてはならない」と述べた。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1108260.html韓国語原文入力:2023-09-13 02:44
訳H.J

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