白昼のソウル新林洞(シルリムドン)の野山で暴行を受けた30代女性が死亡したことで、「繁華街も登山道も安全ではない」と不安と怒りを表出する女性たちの声が高まっている。特に今回の事件は、犯人が性的暴行まで事前に計画した情況が明らかになった「フェミサイド(女性嫌悪殺害)」という点で、女性の安全を疎かにした政界に対する非難も沸き上がっている。
20日、ソウル龍山区(ヨンサング)に住むチャ・ヨンジュさん(30)は、「女性が昼間に道を歩いていて強姦殺人に遭い、毎日のように女性を対象とした凶悪犯罪のニュースが流れる世の中で、一体何をどうすれば安全に自分で予防できるのか分からない。こんなに生存の危機を感じたことは今までなかった」と話した。京畿道東灘(トンタン)新都市に住むオ・ジンミさん(37)は、「仕事から帰って小学生の娘と散歩するとき、人が多い所を通らなければと思いながらも、繁華街でも凶器騒ぎがあったのでどうすればいいのか分からない。ますます孤立し、互いを疑うようになるのではないかと心配」だと話した。この日葬儀場で会った被害者の実兄も「大通りを歩いても事故(犯罪)が発生し、散策路を通っても事故(犯罪)が発生する。どうすればいいと言うのか」と涙ながら語った。
警察は被害者のAさん(34)が19日に死亡したことで、C容疑者の容疑を強姦殺害に変更した。C容疑者は「ナックルは強姦する目的で4月にインターネットで購入した」と供述し、計画犯罪に重きが置かれている。
事件発生地である冠岳区(クァナック)で、ある区議員の積極的な反対により「女性安心帰宅道」事業が廃止された事実が知られ、この区議員を糾弾する声も広がっている。冠岳区が掲げた「女性にやさしい都市」政策を批判してきたチェ・インホ区議員(国民の力)は、昨年12月、議院活動を広報するユーチューブチャンネルで「女性安心帰宅事業では男性は何の保護も受けられない現実に置かれている」とし「女性安心帰宅道(予算)7400万ウォンを全額削減し、(この予算で)安心路地事業を増額した」と明らかにした。
昨年12月9日に開かれた冠岳区予算決算特別委員会の会議録によれば、冠岳区のチョン・ギョンスン女性家族課長が「都市再生課の事業は全般的な地域に対して行うものだが、(女性安心帰宅道は)警察署と協業して犯罪被害が頻繁に起きる地域を選ぶもの」とし、両事業の違いを説明したが、予算をとどめることはできなかった。20日午後、冠岳区議会のホームページの掲示板「議会に望む」には、チェ議員の辞任を求める書き込みが1日で730件余り(午後3時現在)上がっている。
韓国性暴力相談所のスタッフのノ・ソニ氏は「ミソジニー(女性嫌悪)犯罪対策を設けなければならないと要求すると、政界は『男性逆差別』などに言及し(このような要求が)まるでジェンダー対立であるかのように扱った」とし「このために、ただでさえ足りない女性安全対策がさらに縮小された」と指摘した。
遺族は加害者厳罰を強く求めた。この日葬儀場で会った遺族は「公正な法執行を通じて法廷最高刑が下されなければ正義が成り立たない」と述べた。性暴力処罰法上、強姦などの傷害罪の法定刑は「無期懲役または10年以上の懲役」だが、強姦などの殺人罪は「死刑または無期懲役」のみで処罰される。