尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、16日に東京で行われた韓日首脳会談について「過去は直視し記憶しなければならないが、過去に足を引っ張られてはならない。韓日関係も今や過去を乗り越えなければならない」と21日の国務会議で述べた。「一方的な大盤振る舞い外交」と国内で批判を浴びる中、「韓日関係正常化は韓国国民に新たな自負心を呼び起こすだろう」とし、自ら説得に乗り出したのだ。しかし共に民主党は韓日会談を「屈辱外交」と規定し、国会での国政調査の推進を検討すると表明している。
尹大統領はこの日、テレビで生中継された国務会議の冒頭発言で「韓日関係は片方が得ればもう片方がそれだけ失うゼロサム関係ではない。共に努力して共により多くを得るウィンウィンの関係になりうるし、必ずそうなるべき」だとしてこのように語った。尹大統領は異例に長い7500字の演説文を20分あまりかけて読み上げた。
尹大統領は、今回の訪日の背景として前政権に言及しつつ正当性を強調した。尹大統領は「前政権は泥沼にはまった韓日関係をそのまま放置した」とし「昨今の厳しい国際情勢に背を向けて、私までもが敵対的民族主義と反日感情を刺激して国内政治に利用しようとしてしまえば、大統領としての責務をないがしろにするものだと考えた」と語った。また「韓国社会には排他的民族主義と反日を叫ぶことで政治的利益を得ようとする勢力が厳然として存在する」と語った。会談結果を批判する人々のことについて「政治的意図がある」と主張したのだ。
尹大統領は続けて「韓国が先制的に障害物を除去していけば、きっと日本も呼応してくるだろう」とし「先制的に、韓国側の日本に対するホワイトリスト(輸出管理優待国)復元のために必要な法的手続きに着手するよう、産業通商資源部長官に指示する」と述べた。日帝強占期の強制動員被害者への賠償を命じた2018年の韓国最高裁判決に反発して日本政府が韓国を輸出品目のホワイトリストから排除したことを受け、政府も同じ措置を発動したわけだが、今回も韓国政府が先に正常化の決定を下した格好だ。また外交部はこの日、会談の後続措置として韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)関連の2件の公文書をいずれも撤回することを書面で通知し、「完全正常化」手続きを終えた。
共に民主党のパク・ホングン院内代表は院内対策会議で「新乙巳(ウルサ)条約ともいえるような対日屈辱外交は容認できない」とし、「国民の意思を尊重し、国政調査推進を本格検討する」と語った。日本の加害企業ではなく国内の財団が強制動員被害者に賠償することを骨子とする「第三者弁済案」、首脳会談のテーブルに載ったと伝えられる独島、慰安婦合意、福島産水産物の輸入規制の問題などが調査対象となるとみられる。