本文に移動

[寄稿]日本好きな韓国の若者世代、強制動員解決策に対しては「別」だった

登録:2023-03-21 08:49 修正:2023-03-21 10:20
イ・ムニョン|ソウル大学統一平和研究院副教授

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、今回の強制動員解決策は「未来」のためのものだと主張する。「未来世代」「未来志向」「未来基金」のような用語が前面に出てきた。韓国内の一部の日本専門家は、韓国のMZ世代(1980年代半ば~1990年代初頭生まれの「ミレニアル世代」と1990年代後半~2010年代初頭生まれの「Z世代」の2つの世代)の格別な日本への愛に、既成世代(現在の社会の主流である壮年層)の古い反感が邪魔になってはならないと語る。日本メディアも同調する。産経新聞は、反日世論にかかわらずに日本文化を楽しむ「イエス・ジャパン世代」が韓国に存在するとして、韓国の20代の51%が強制動員解決策を支持したとまで主張した。これらは事実なのか。統計を通じて確認してみよう。

 韓国の東アジア研究院と日本の「言論NPO」は、2013年から「韓日国民相互認識調査」を実施してきた。その結果によると、韓国のMZ世代が既成世代よりもはるかに日本を好きなのは事実だ。一例として、2021年の韓国人(平均)の日本への非好感度は63.6%、20代ではそれより20ポイントも低い43.1%、30代は59%だった。20代の場合、好感度(29.9%)も平均(20.4%)より10ポイントも高く、さらに2019年には、好感度(41.9%)が非好感度(33.9%)を超えてもいた。これは、調査期間全体の全世代をあわせて唯一の、きわめて異例の結果だ。韓国のMZ世代、特に20代の日本への好意は確実だ。

 ならば、歴史問題はどうだろうか。日本が好きだから歴史問題にも寛大になるのだろうか。あるいは、古い歴史問題には最初から関心がないのだろうか。2021年、韓国人の51.6%が韓日関係の発展のために解決しなければならない問題の第1位として「慰安婦、強制動員などの歴史問題」を挙げた。ならば、20~30代はどうだろうか。20代の51.5%、30代の51.9%が歴史問題の解決を同じく第1位に選んだ。歴史にまったく無関心なのではない。

 それどころか、歴史問題に対する彼ら彼女らの考えは、2017~18年の調査によると、2015年の韓日政府間の慰安婦合意に対する否定評価は20代で79.1%、30代で82.3%となり、韓国人平均の75%よりむしろ高かった。またその解決策について、「(2015年の合意廃棄と)再協議」という最も強硬かつ原則的な立場は、全世代をあわせて20代で最も高く現れた(平均48.2%、20代で55.1%)。

 強制動員問題も同じだ。2018年の日本企業の賠償責任を認めた大法院(韓国最高裁)判決以降、日本の輸出規制措置、韓国のGSOMIAによる正面対抗など、歴史・経済・安全保障に関する複合対立によって、韓日関係は最悪の危機を迎えた。次は、これについて実施したアンケート調査の結果を世代別に整理したものだ。

2019~2020年の調査結果。選択した回答は上から「大法廷判決を肯定的に評価」「日本企業が賠償すべき」「歴史問題で日本側の誠意がなければ韓国政府の積極的な対応は不要」「(日本の経済措置に対して)韓国も対抗措置をすべき」。数字は平均、20代、30代の割合//ハンギョレ新聞社

 すべての項目で、韓国人の平均より20代は若干低く、30代は若干高い。すなわち、強制動員問題について、既成世代と20~30代の認識には大きな違いはなく、30代の場合はさらに強硬だ。今回の強制動員解決策に直結した質問項目も同じだ。関連する2020~2021年の調査の平均を出してみると、「韓国司法府の判決に従い、(被告企業による被害者への賠償の)強制執行が行われなければならない」に対する20代、30代、全世代の賛成比率は、それぞれ31.3%、33.4%、34.4%だった。20~30代が若干低いが、大きな差はなく、他の世代と同じように20~30代もこの案を解決策の第1位に選んだ。

 特に20代の場合、「最高裁判決は1965年の韓日協定に反するため、日本企業は従う必要はない」を選択した割合(10.2%)は平均(13.6%)より低く、「(日本企業でなく)韓国政府が補償する」の場合も同様だった(平均15.2%、20代14.0%)。

 統計が示す現実は、未来のためだとする今回の強制動員解決策が、本来の未来世代の認識といかにかけ離れているかを如実に示している。「若い韓国人」はいくら日本好きでも歴史問題は決して軽視しない。楽しむべきことは思う存分楽しむが、非難すべきことは同様に厳しく非難する。時には既成世代よりも厳しい。「慰安婦」や強制徴用で苦痛を受けた高齢の被害者の涙は、青年世代特有のジェンダーと人権の感受性に突き刺さる。歴史を越えて、人間の普遍的価値の問題だからだ。

 「文化は文化で、歴史は歴史だ」という軽快でクールな感覚は、これまでのすべての対日政策者がスローガンとして叫んできたが誰も成功できていない「(歴史・政治/文化・経済)ツートラック戦略」を20~30代がすでに日常で先取していることを示している。比類なく高まった国家の地位に、金九(キム・グ)先生があれほどまでに願った文化強国まで成し遂げた現在、韓国の青年たちは、それだけより堂々とした正しい歴史を望む。

 最近の世論調査がこれを端的に示している(イム・ソンヒョン、「毎日経済」2023年3月8付)。今回の強制動員解決策について、韓国人の57.9%が「間違った決定」だと答えた。20~30代はどうか。20代で60.1%、30代で59.7%。平均より高い。今回の解決策は、過去だけでなく未来も封印した惨事だということだ。前代未聞の外交惨事を、若者たちを盾に正当化してはならない。若者たちを犠牲にした惨事はもう十分だ。恥ずべきことではないか。

//ハンギョレ新聞社

イ・ムニョン|ソウル大学統一平和研究院副教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/1084383.html韓国語原文入力:2023-03-20 19:27
訳M.S

関連記事