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北朝鮮で韓国工作員に拉致され、韓国暮らし67年…裁判所、国に1億円の賠償命じる

登録:2023-02-18 04:18 修正:2023-02-18 07:47
北朝鮮派遣工作員拉致被害者のキム・ジュサムさん=真実和解委提供//ハンギョレ新聞社

 黄海道で生まれ北朝鮮地域で暮らしていたが、韓国から北朝鮮に派遣された工作員に拉致され、その後の67年間を韓国で暮らしてきたキム・ジュサムさん(86)に対し、裁判所は10億ウォン(約1億400万円)の損害賠償を国に命じる判決を下した。

 ソウル中央地裁民事37部(パク・ソックン裁判長)は、キムさんが国を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、原告一部勝訴の判決を下したことを16日に明らかにした。キムさんは15億ウォンを請求していたが、裁判所はこのうち10億ウォンを慰謝料と認定した。

 キムさんは朝鮮戦争直後の1956年10月、韓国から北朝鮮に派遣された3人の工作員によって黄海道龍淵郡(ヨンヨングン)の自宅で拉致された。当時19歳だったキムさんは、ソウル九老区梧柳洞(クログ・オリュドン)にあった空軍諜報隊に連行され、黄海道地域の人民軍部隊の位置や橋梁などの地形情報について尋問され、それから4年間は空軍基地で報酬も受け取れずに下働きなどの労役をさせられ、1961年に解放された。キムさんはその後も故郷に帰れず、韓国の地で暮らしている。

 キムさんは韓国国民として編入されたが、何の縁故もなく教育もきちんと受けられなかったため、日雇いの仕事などを転々としながら何とか生計を立ててきた。国防部特殊任務遂行者補償支援団(支援団)は調査を通じて、1956年にキムさんが北朝鮮から拉致され、韓国軍の基地に抑留されたことを2013年に認めた。続いて真実・和解のための過去事整理委員会は昨年8月、キムさんは空軍諜報隊によって人権を侵害されたとし、政府はキムさんに謝罪し、北朝鮮の家族と再会する機会を与えるべきだと勧告した。

 裁判所は「国である被告が犯した不法行為は重大かつ明白だ。キムさんは家族と生き別れになり、それによって深刻な孤独感などの精神的苦痛に見舞われたものとみられ、このような苦しみは一生治癒されない」と述べた。政府は損害賠償請求権の時効が過ぎていると抗弁したが、裁判所は最高裁の判例を引用して「真実和解委が犠牲者であることを確認する真実究明決定を下したなら、国が時効の成立を主張することは信義誠実の原則に反する権利乱用に当たる」と判断した。

チョン・ヘミン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1079945.html韓国語原文入力:2023-02-16 11:45
訳D.K

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