与党「国民の力」の3月8日全党大会が、未来・和合ではなく過去・分裂の泥沼に陥っている。尹錫悦 (ユン・ソクヨル)大統領の党務介入に対する物議や、強硬な尹錫悦派の「集団攻撃」に続き、尹大統領離党論まで登場し、時代錯誤な理念アイデンティティ攻撃まで激しくなっている。かつてない政権与党の退行に、党内では「このままでは来年4月の総選挙で必ず敗北する」という声があがっている。
党代表候補のキム・ギヒョン議員は7日、フェイスブックへの書き込みで、ライバル候補のアン・チョルス議員に向かって「今もスパイがいないと思いますか」とし、前日に続き「イデオロギー分け」攻勢を示した。キム議員は、アン議員の過去の発言を問題視し「共産主義者の大家であった(思想家・作家の)シン・ヨンボクが尊敬される知識人だと思うんですか。THAAD配備が国益に害を及ぼしたんですか。太陽政策の継承をいまも所信としているんですか。天安門抗争を弾圧した独裁者の鄧小平がロールモデルなんですか」と攻撃した。キム議員は記者団に対し、「(アン議員の)過去の発言や行動がわが党の志向する価値と合致しないのではないかという多くの疑問が提起されている」と述べた。前日には「反大韓民国報道の総本山である言論労組を支持するアン候補は、国民の力の党代表になる資格がありますか」とも発言している。キム議員の発言は、6日に「尹核関」(尹大統領の核心関係者)とされるイ・チョルギュ議員が「(アン議員は)共産主義者のシン・ヨンボクを尊敬する人」だと主張した翌日に出たもの。
キム議員の理念攻勢は、支持率危機の局面で保守的な党員の票を集める狙いがあると思われる。キム議員は支持率トップを走っていた先月中旬、「ネガティブな行動はやめよう」とし、「連帯・包容・蕩平(政治勢力の均衡をはかる)政治」を強調した。しかし、ナ・ギョンウォン元議員の党代表出馬取りやめで「尹核関」の暴力的な行動に対する党内外の批判が高まり、アン議員が支持率トップに躍り出た後、尹大統領までがアン議員を「妨害者であり敵」と批判すると、包容ではなく排斥へと態度を一変させた。この過程で、尹大統領のメンターとして知られたシン・ピョン弁護士は「アン議員が党代表になった場合、尹大統領が離党して新党を結成するだろう」と述べ、党員を脅迫するような発言まで行った。大統領室と尹錫悦派からは、昨年の大統領選挙当時、尹大統領とアン議員の候補一本化の効果を否定するような発言も飛び出した。
このような攻撃に対して、アン議員はこの日開かれた全党大会ビジョン発表会で、「尹大統領とともに候補一本化を通じて政権交代に一助したではないか。それで私の考えを証明したと思う」と述べた。アン議員側のキム・ヨンウ選挙対策委員長も、CBSのインタビューで「だったらなぜ候補一本化をするとき、合党して入党するときに黙っていたのか」として「結局、キム・ギヒョン候補の支持率が振るわないため起きていることだ」と述べた。
修羅場の全党大会に対する党内の懸念も高まっている。ハ・テギョン議員は文化放送(MBC)とのインタビューで、「党員たちは(尹大統領の)党内選挙介入とみているようだ。党員はばかではない」と述べた。最高委員候補のキム・ヨンテ前青年最高委員はフェイスブックに「(大統領選候補の)一本化がそれほど悪影響を及ぼしたというなら、一本化を積極的に主導した尹核関が天罰を受けるべきではないか」と批判した。ある慶尚道圏の重鎮議員は、「大統領がびっくりするほど党務に介入するのをみて、党員たちは『総選挙で勝てるだろうか』と疑わしくなっているようだ」とし「大統領の権力や党の意向で民意を抑えるのは不可能だ」と述べた。